ジェフ・ベック『ジェフ』

【Blu-spec CD】ジェフ【Blu-spec CD】ジェフ
(2009/02/18)
ジェフ・ベック

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 ジェフ・ベックの新作『ジェフ』(ソニー・ミュージック・ジャパン/2520円)がスゴイ! なんの予備知識もなくこの新作を聴いたら、来年還暦を迎える男の作った音楽だとは誰も思うまい。それほど若々しい、バリバリのロックなのである。

 手塚治虫は、最晩年までマンガ界の最前線で活躍しつづけ、親子ほども年の離れた若手マンガ家に対してすらライバル意識を燃やした。ベックもしかり。「孤高の天才ギタリスト」の名を欲しいままにしてきたベックだが、幾つになってもけっして円熟などしない。ポップ・ミュージックの最前線で活躍している若手アーティストたちと、いまなお互角に渡り合っているのだ。

 かつてベックとともに「3大ギタリスト」の1人に数えられたエリック・クラプトン(もう1人はジミー・ペイジですね。為念)がすっかり円熟してしまい、音楽ばかりか見た目まで好々爺然としているのとは対照的である。

 ジェフ・ベックは、1970年代後半の『ブロウ・バイ・ブロウ』(ちなみにこのアルバム、発売当初は『ギター殺人者の凱旋』というスゴイ邦題がついていた)と『ワイアード』の2作でインスト・ロックの金字塔を打ち立てた。当時の音がジャズとロックの境界線上にあったのに対し、この『ジェフ』にはジャズ色がほとんどない。デジタル・ロックを基調に、ラップやブルース色も加味した、まさに最先端のロック。

 「JB’sブルース」のようにリリシズムあふれる「泣きのギター」を聴かせる曲もあるが、大半の曲では、音を歪ませたギターを速弾きしまくっている。それでいて、そのギターは少しも耳障りではなく、ソリッドな美しさに満ちているのだ。『ブロウ・バイ・ブロウ』や『ワイアード』が「正調の美」だったとすれば、この『ジェフ』は「破調の美」を極めた作品といえよう。

 つまらない曲は一曲もない。ビリビリとした緊張感が、最初から最後まで持続する。「ハード・エッジ」という言葉を絵に描いたような力作。ジェフ・ベック59歳、いまなおロックのフロントラインを疾走中である。
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Profile 

前原政之 
イラスト/ジョージマ・ヒトシ

前原政之(まえはら・まさゆき)
1964年3月16日、栃木県生まれ。55歳。
1年のみの編プロ勤務(ライターとして)を経て、87年、23歳でフリーに。フリーライター歴32年。
東京・立川市在住。妻、娘、息子の4人家族。

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●「mm(ミリメートル)」は、私のイニシャル「MM」のもじりです。

●私の大好きなギタリスト・渡辺香津美氏は、ご自身のイニシャル「KW」をもじった「KW(キロワット)」を、公式サイトのタイトルにしておられます(同名のアルバムもあり)。それにあやかったというわけです。

●あと、「1日に1ミリメートルずつでもいいから、前進しよう」という思いもこめられています(こじつけっぽいなあ)。

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