追悼・横山光輝

闇の土鬼 土鬼と武蔵編 闇の土鬼 土鬼と武蔵編
横山 光輝 (2006/08)
講談社

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 昨日鷺沢萠の死について書いたばかりだというのに、今日は横山光輝……。なんか滅入るなあ。

 誤解を恐れず言えば、少年マンガの中にあっては「B級」のイメージが強いマンガ家であった。
 ロボット・マンガでいえば『鉄腕アトム』がA級で『鉄人28号』はB級。忍者マンガでいえば白土三平がA級で横山作品(『伊賀の影丸』など)はB級。SFとしても、『バビル2世』『マーズ』などの横山作品は、手塚や石森章太郎の諸作と比べればB級。そんな印象がある。

 急いでことわっておけば、「B級だから悪い」と言っているわけではない。また、「B級イコール二流」という意味でもない。横山光輝は押しも押されもしない一流マンガ家だったが、それでも「B級」イメージなのである。
 「B級映画」という評言がある種の映画に対する最高の讃辞であるように、横山作品にはB級ならではのよさがあった。

 個人的に愛読したのは、横山が1970年代に『少年マガジン』『月刊少年マガジン』で描きつづけた、一連の「B級」娯楽作である。
 『闇の土鬼』『時の行者』『狼の星座』……この3作が、私の選ぶ横山作品ベスト3だ。

 以下、マイベストワンの『闇の土鬼』について私のサイトに書いた短文をコピペ。

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 横山光輝は、大ヒット作を多数持ちながら、論じられることの少ない職人肌のマンガ家である。

 たしかに、この人の作品がマンガ表現のイノベーションを進めたということはまったくあるまい。しかし、その作品のいくつかは読み出したら止まらない面白さを持っており、あなどれない。

 この『闇の土鬼』は、少年時代の私が毎週楽しみにしていた傑作。「七節棍」という武器を操る天才武芸者・土鬼が、養父の仇である血風党(徳川幕府の秘密部隊)の首領・無明斎を追いつめていく過程が、スリリングに描かれている。

 無明斎に近づくにつれ、土鬼の前に立ちはだかる相手が少しずつ強敵になっていく(クライマックスは柳生十兵衛との対決!)あたり、よくできたロールプレイングゲームのような面白さである。

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 日本のマンガが誇る偉大なアルチザン(職人)・横山さんのご冥福をお祈りしたい。
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前原政之 
イラスト/ジョージマ・ヒトシ

前原政之(まえはら・まさゆき)
1964年3月16日、栃木県生まれ。55歳。
1年のみの編プロ勤務(ライターとして)を経て、87年、23歳でフリーに。フリーライター歴31年。
東京・立川市在住。妻、娘、息子の4人家族。

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●「mm(ミリメートル)」は、私のイニシャル「MM」のもじりです。

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