ダイエット本は宝クジに似ている

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(2006/10)
松永 みち子

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  ↑うーん、うさんくささ満点

肥満基準の男女格差(2004年4月25日記)
 内閣府が24日に発表した世論調査によると、「自分は肥満だ」と感じている成人女性が全体の47・6%にものぼったという。
 
 私はつねづね、「男から見た『女の肥満』」と「女から見た『女の肥満』」の基準には、かなりのズレがあると感じている。男から見たら少しもデブではないのに、「私は太っている」と思いこんでいる女性が多いように思うのだ。

 今回の世論調査の結果は、そのズレを裏づけるものだ。
 女性のほぼ2人に1人が「私は太っている」と感じていることになるわけだが、多くの男は、「道行く女性の2人に1人は太っている」とはけっして感じていないはずである。

 男女の「肥満基準」のギャップは、重さにしたら5キログラム程度に達するのではないか。要するに、世の女性たちが考えているよりはずっと、多くの男たちはふくよかな女性のほうが好きなのである。

 そのギャップについては浅田次郎が、エッセイ『勇気凛凛ルリの色/四十肩と恋愛』(講談社文庫)の中で、次のように表現している。

「女性は断じて太めがよろしい。思うに、世の女性はことごとく『私はデブ』という強迫観念に捉われているのではなかろうか。(中略)どう考えても『ころあい』としか思えぬ女性に限って、『私はデブだ』と悩んでいるように見える」(「ダイエットについて」)

 というと、私や浅田次郎をいわゆる「デブ専」だと誤解して「引いてしまう」人もいるかもしれないが(笑)、そうではない。
 「デブ専」の人たちのように、「女性は太っていればいるほど魅力的!」と感じるわけではないのだ(「デブ専」の人たちには、森公美子が一番人気なのだそうだ。ストライクゾーンの広い私も、さすがにそこまではちょっとねー)

 浅田次郎は、やや太めだが魅力的な女性の例としてマライア・キャリーやナタリー・ウッド(古いね)を挙げる。
 私が日本の芸能界から例を挙げるなら、松下由樹とか原日出子であろうか。最近のこの2人も、女性の目から見たらおそらく「軽い肥満」の範疇に入るだろうが、私や浅田次郎の目からは「ころあい」「魅力的」に映るのである。ふくよかでまことによろしい。
 
 「えー、でもそれって『オヤジの感覚』じゃん。若いイケメンはもっとスリムなモデル体型が好きなのよ」という反発の声もあろうかと思う。
 たしかに、浅田次郎も次のように言う。
「おのれの女性に対する美意識の変遷をたどって行くと、年齢とともに太めが好きになるような気がする」

 だが、つづけて次のようにも書いているのである。
「この考えを『おやじの趣味』と侮ってはならない。なぜならおやじの視線には知性のかけらもなく、常に動物的本能をもって女性を見るのであるから、『おやじの趣味』はすべからく『美的真実』なのである」(同前)

 世の女性たちの中には、「ダイエットがうまくいかないから、カレシができない/カレシにふられた」と感じ、さまざまなダイエットに励んでいる人が多いだろう。
 だがじつは、せっかくの魅力を過剰なダイエットで損なってしまったばかりにカレシができない女性も、きっとたくさんいるはずだ。一中年オヤジの偽らざる実感として、そう思う。


ダイエット本は宝クジに似ている(2004年4月26日記)
 昨日の日記にはたくさんの反響メールをいただいた(やっぱり、肥満/ダイエットに対する関心は非常に高いのだな)。

 男性陣からは、「私も前からそう思っていました」という賛同が多かった。
 あー、やっぱりね。あのキャンディーズ(オヤジなので例が古い)だって、ガリガリのミキよりは軽度肥満のスーのほうが人気が高かったのだ。

 いっぽう女性陣からは、「ごもっともだけれど、女性のダイエットには、同性の視線を意識して行なうという面も強いのですよ」との指摘が……。

 それから、「やや太めだけど魅力的な女性」の例として挙げた原日出子については、以前、夫の渡辺裕之がトーク番組で「彼女を好きになったきっかけ」について語っていた。
 ドラマで共演した際、彼女とのラブシーンがあり、そのときの「背中の抱き心地がほかの女優さんと違った」のだそうだ(笑)。
 なんとなくわかりますね。あんまりゴツゴツしてるのはちょっと……。

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 じつは私は、ゴーストライターとして何冊もダイエット本を執筆したことがある。だから、世の一般的男性よりはダイエットにくわしいのだ。

 それらの本を書くにあたって得た知識によれば、世のダイエット本は「売れている本ほど眉ツバ」である。

 ホンネでは誰もがわかっているとおり、やせる方法なんて、「食事を減らして運動をする」ということに尽きるはずだ(それをより効果的に行なうノウハウはあるにせよ)。だが、そんなあたりまえのことを書いたダイエット本はけっして売れない。
 売れるのは、「耳のツボでやせる」とか、「アイスクリームでやせなさい」だとか、「リンゴだけ食べてやせなさい」とか、一見魔法のようでいて、よく考えるとムチャクチャな本ばかりなのだ。

 パスティーシュ小説の名手・清水義範の短編に、「痩せる方法」というのがある(新潮文庫『秘湯中の秘湯』所収)。ダイエット本の文体を借りて日本人のダイエット熱をおちょくった作品だが、その中にこんな一節があった。

 痩せ方の本というのは、食べるのを我慢しろと書いてあるのではない限り、人々の奇跡を望む気持ちにつけこんだインチキなのである。人々はむしろそのインチキを求めているのだから、そういう本はこれからも次々に出てくるわけである。



 まことにしかり。
 私の知り合いのある中年主婦(太っている)は、ダイエット本を次々と買い求める心理について、「宝くじを買う気持ちに似ている」と言ったものだ。
「これでもしかしたらやせられるかもしれない、という夢を買うのよね」

 ダイエット本には、このくらいの気持ちでつきあうのがちょうどいい。


※追記
 小林まことのマンガ『格闘探偵団』の2巻を読んでいたら、「ダイエット撲滅委員会」の会長というのが出てきて、大笑いしてしまった。
 その会長は次のように言うのだ。

 女は脂肪がついているから女くさいのだよ。それなのに痩せてかえってブスになって得意げな顔しとる!!
 へたなダイエットなんかすると女性ホルモンが減ってブスになると長年訴えつづけているのだが誰も聞きやせん。
 このままでは日本中ブスばかりになってしまうからダイエット反対のデモ行進を計画しとるのだが、誰も賛同してくれる者がいないのだよ



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前原政之 
イラスト/ジョージマ・ヒトシ

前原政之(まえはら・まさゆき)
1964年3月16日、栃木県生まれ。53歳。
1年のみの編プロ勤務(ライターとして)を経て、87年、23歳でフリーに。ライター歴30年。
東京・立川市在住。妻、娘、息子の4人家族。

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