武田徹『調べる、伝える、魅せる!』 |
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2004-05-15 Sat 16:30
武田徹著『調べる、伝える、魅せる!/新世代ルポルタージュ指南』(中公新書ラクレ/760円)読了。 武田は現在、執筆のかたわら東大先端科学技術研究センターの「特任教授」をつとめているのだという(出世したなあ)。本書は、東大ではなくほかの複数の大学で行なったルポルタージュ制作実習を基にしたもの。 ルポルタージュの手引書といえば、本多勝一の『ルポルタージュの方法』(朝日文庫)や竹中労の『ルポライター事始』(ちくま文庫)という名著・好著がある。いずれも私はくり返し愛読してきたものだが、かなり古い。インターネットどころかワープロ登場以前の本なのだ。 だからこそ、本書には大いに期待した。“ネット時代のルポルタージュ入門”が満を持して登場したと思ったのだ。武田はいかにもマルチメディアに造詣が深そうだし。 だが、かなり期待外れ。示唆に富む指摘も少なくないのだが、全体としては面白くなかった。 武田徹の本はこれまでにも何冊か読んだことがあるが、いつも同様の感想を抱く。すこぶる知的だし、細部に光るものはあるのだが、全体として見ると、読者に訴えかける力が決定的に欠けている――そんな感想を。 本多勝一の『ルポルタージュの方法』は、実践的入門書として非常によく出来ていた。竹中労の『ルポライター事始』は、ルポライターの「覚悟」「心構え」を熱っぽく説いて感動的だった。 それに比べて、武田のこの本はなんとも中途半端である。 ルポルタージュ入門として読むには物足りない。「造語のルール」などというトリヴィアルなことを必要以上に詳述していて、基本的な事柄がきちんと書かれていない。 ルポルタージュ入門というより、その章間に挟んだコラムだけを集めてふくらませたような内容なのだ。 また、「この本は、怒りと憤慨を契機として書かれた」と武田は言う(「イントロダクション」)のだが、そのわりには内容に「怒り」に類する熱さが感じられない。 メディア・リテラシーについての記述が目立つ。 それらの中には傾聴に値する意見もあるのだが、この本の中で読まされると、「また脇道にそれた」という印象しか受けない。 いっそ、「大学でメディア教育に携わった体験を通じて書いた、『メディア・リテラシー論』」に絞って書けばよかったのである。 「『技』の章(調査編)」「『術』の章(執筆編)」「『芸』の章(映像編)」の3章立て。 ビデオを使ったドキュメンタリーについて書かれた「『芸』の章」は、類書にはない新機軸であり、そこそこ面白かった。 困ったことに、メインとなるべき「『術』の章(執筆編)」がいちばんつまらない。本多勝一の『日本語の作文技術』(朝日文庫)など、過去の文章読本からの引用がやたらに多くて、“人のフンドシで相撲をとった手抜き”としか思えなかった。 ルポルタージュ入門のようでいて、メディア論のようでもあり、文章読本のようでもある本。けっきょくはどこにも的が絞れていない。 |
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