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2004-05-16 Sun 23:24
私は野口晴哉(はるちか)の「風邪の効用」論の信奉者なので、風邪のときには薬を飲まないし、医者にも行かない。 野口は社団法人整体協会の創設者であり、現在行なわれているほとんどの整体の始祖的存在である。ただし私は、整体師としてではなく、『風邪の効用』の著者として彼を知った。 この本の中で野口は、“風邪というものは、人間の身体の疲れや偏りを治してくれるものであり、上手に風邪を引くことで人は健康になれる”と主張する。 すなわち、風邪は病気ではなく、人体が本来備えている自然治癒力の発現だというのだ。だから、“わざわざ風邪薬などでその働きを抑えてしまうとは、なんともったいない”ということになる。 そして野口は、「風邪ひとつ引かない」というのは健康を示すサインではなく、むしろ大病をしやすい危険信号だという。 「癌になる人とか脳溢血になる人とかいうのを丁寧に見ると皆、共通して風邪も引かないという人が多い」 「人間が風邪を引くという働きを持っていながら、なぜ体が硬張って行くのかというと、風邪を治したり、風邪を予防したり、風邪に鈍くなるようなことを講じているからです」 「いろいろな病気を治す方法よりは、風邪を上手に経過する生活法と云いますか、それを会得しておけば、癌になるとか、脳溢血になるとか、そういう麻痺した体も正すことができる。従ってそういうような病気にならないで済む」 野口の健康哲学はこのように、自然治癒力を重視し、身体や生活の偏りを正すことで健康になろうとするものである。 野口の代表的著作2作――『風邪の効用』と『整体入門』――は、いずれも最近ちくま文庫に入った。けっこう売れているらしい。 唐沢俊一は、「裏モノ日記」の中で、野口の『整体入門』を「トンデモ本」の一つに数えていた。たしかに、私のシロウト目から見ても首をかしげたくなるような記述が散見される。 そもそも、野口自身が60代前半で病没している。それだけでも、野口の主張する健康法の信憑性にはやや疑問符がつく。「ビタミンC健康法」で知られるライナス・ポーリングは、94歳まで長生きしたのである。 しかし、こと「風邪の効用」論に関するかぎり、医学的根拠はともあれ、私は本能的・直観的に納得できるのだ。 もっとも、「風邪は身体の正常化作用・排毒現象だから、薬で抑えるべきではない」という考え方は、野口のオリジナルではなく、東洋医学にはもともとあるものだ。 “鼻水や痰や発汗などの風邪の諸症状は、すべて「排毒現象」である。だからこそ、薬で抑えずに症状を出るがままにして安静を保てば、風邪を引き終えたあとにはそれ以前よりも体調がよくなる。毒素が排出されたのだから、当然のことだ。 薬を飲めば症状は早めに収まるが、同時に排毒作用も止まってしまう。のみならず、排出されるべき毒素が体内に蓄積されてしまい、それがくり返されると、ほかの病気の遠因にもなる” ……というような東洋医学の考え方は私にはすんなり首肯できるのだが、どうだろうか? 物はためし、みなさんが次に風邪を引かれたときには、薬を飲まずに「きちんと引いて」みてはいかが? |
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