『ちょっと待って、神様』と『秋日子かく語りき』


ちょっと待って、神様 [DVD]ちょっと待って、神様 [DVD]
(2004/06/25)
泉ピン子、宮崎あおい 他

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 今年1月から2月にかけてNHKで放映されていた『ちょっと待って、神様』は、私が久々にハマッて観たテレビドラマであった。25日に、いよいよこのドラマがDVD・ビデオ化される。大島弓子の傑作短編『秋日子かく語りき』を原作にしたドラマである。

 『秋日子かく語りき』は、私がいちばん好きな大島作品である。メイン・サイトで1度この作品について書いたことがあるので、以下、その文章をコピペ。

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 大島弓子といえば、『綿の国星』などの作品で知られる少女マンガ界の大御所である。が、この『秋日子かく語りき』は、むしろ中年女性にこそ読んでほしい作品だ。

 大島作品の中に、「死者の蘇り」を描いたファンタジー短編が二つある。一つは映画化もされた『四月怪談』で、もう一つがこの『秋日子かく語りき』である。

 『四月怪談』では、事故死した少女が霊界でのさまざまな曲折を経て生き返るまでが描かれ、この『秋日子かく語りき』は、事故死した中年女性が、(女子高生の身体を借りて)一週間だけ生き返るいきさつを描いている。

 つまり、この『秋日子かく語りき』は、『四月怪談』を中年女性向けに焼き直したものとも思える(似ているのは基本設定だけだが)。2作品に通底するのは、「この世は生きるに値する」という力強いメッセージである。

「あんな人生なんにも納得してないんです」と天使に不平を言い立てた主人公が、一週間の〝猶予期間〟で人生の素晴らしさを悟っていく……優しい物語が、「マンガ界の印象派」と呼びたいやわらかな絵柄とあいまって、読む者の心を癒してくれる。

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 この『ちょっと待って、神様』では、中年主婦を泉ピン子が演じ(ハマリ役!)、彼女が〝猶予期間〟に身体を借りる女子高生・秋日子を、『ユリイカ』『害虫』などの作品で知られる宮崎あおいが演じている。

 この、宮崎あおいの演技がじつに達者! 「外見は女子高生でも中身はオバサン」という難役を見事にこなしている。彼女の演技を見るためにも一見の価値があるドラマだ。

 基本設定を除けば、原作とは異なるストーリーだ。原作は短編だから主人公・竜子1人の「蘇生の物語」となっていたが、ドラマのほうは周囲の人間たちもしっかり描きこみ、主要登場人物全員が「蘇生」していく物語になっているのだ。

 事故死した竜子に身体を貸す少女・秋日子も、竜子の夫と2人の子どもたちも、秋日子になりかわった竜子との交流をとおして変わり、「蘇生」を遂げて新たな人生のステージに向かうのである。

 ストーリーの細部は違っても、大島弓子の原作がもつテイスト、そして「この世は生きるに値する」という力強いメッセージは、このドラマにもきちんと〝移植〟されている。原作ファンとしても十分納得。非常にクオリティーの高いドラマであった。

 ついでに一言。
 このドラマのエンディング・テーマになっているのが、島谷ひとみの「元気を出して」。
 作者・竹内まりやの歌で知っている人が多いだろうが、もともとは竹内が薬師丸ひろ子のために書いた曲。薬師丸の歌手としてのデビュー・アルバム『古今集』のオープニングを飾った曲で、我々薬師丸ファンには忘れられない曲なのである。ドラマの雰囲気にもよく合っている。
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出演作レビュー:『ちょっと待って、神様』

『ちょっと待って、神様』連続テレビドラマNHK総合2004年1月5日放送開始 月~木 23:00~23:15 全20回放送 トータル5時間DVDにはプレマップおよび未放送シーン集が付加一般人へのお薦め度:★★★★★ドラマ・映画好きへのお薦め度:★★★★宮崎あおいファンへのお薦

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Profile 

前原政之 
イラスト/ジョージマ・ヒトシ

前原政之(まえはら・まさゆき)
1964年3月16日、栃木県生まれ。55歳。
1年のみの編プロ勤務(ライターとして)を経て、87年、23歳でフリーに。フリーライター歴31年。
東京・立川市在住。妻、娘、息子の4人家族。

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●あと、「1日に1ミリメートルずつでもいいから、前進しよう」という思いもこめられています(こじつけっぽいなあ)。

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