『北京ヴァイオリン』

   北京ヴァイオリン 特別プレミアム版の画像

 作家の中野孝次氏が亡くなった。
 私は、この人が山のように出していた“生き方本”のたぐい(『清貧の思想』など)には、微塵も興味がない。
 が、1987年刊行の短編集『ある中国残留孤児の場合』には、震えるような感動を覚えた。当時はもっぱら若者向けの小説を読んでいた私にとって、もしかしたら、初めて触れた「本物の大人の文学」であったかもしれない。
 
 アマゾンで検索してみたところ、『ある中国残留孤児の場合』は文庫化もされていないようだし、新刊書店では入手困難だろう。
 小説好きな人には絶対オススメ。図書館などで探してぜひお読みいただきたい。
 私がとくに好きだったのは、子どもができないまま中年にさしかかった夫婦を描いた「受胎告知」と、写真週刊誌のカメラマンを主人公にした「ポケットベル病」。

 中野氏のご冥福をお祈りしたい。


 DVDで、チェン・カイコー監督の『北京ヴァイオリン』を観た。
 渋谷の「ル・シネマ」でロングラン・ヒットとなった作品。福田和也がエッセイで絶賛していたのを読んで「観たい」と思ったのだが、映画館では観そこなってしまったもの。

 予想以上によい映画だった。
 「文部科学省推薦」みたいな人畜無害のお涙ちょうだい映画を想像していたのだが、その想像はプラスの方向に外れた。
 適度な毒気もあって、じつに愉しい作品。笑いあり、涙あり、中国映画に許された範囲の軽いエロティシズムもあり。

 なんだか、中国映画というより、古き佳き日本映画を思わせる作品。

 きちんと感想を書きたいのだが、シメキリが山積みなので(「だったら映画なんか観てんじゃねーよ!」って感じですね)、また後日改めて。
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前原政之 
イラスト/ジョージマ・ヒトシ

前原政之(まえはら・まさゆき)
1964年3月16日、栃木県生まれ。55歳。
1年のみの編プロ勤務(ライターとして)を経て、87年、23歳でフリーに。フリーライター歴31年。
東京・立川市在住。妻、娘、息子の4人家族。

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●「mm(ミリメートル)」は、私のイニシャル「MM」のもじりです。

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