井上真琴『図書館に訊け!』



 井上真琴著『図書館に訊け!』(ちくま新書/740円)読了。

 同志社大学図書館でレファレンス業務を担当する著者(ちなみに男性)が、図書館を調べものに利用するためのノウハウを説いた本。

 図書館司書を目指すための本や図書館学の本は山ほどあるが、本書のように一般ユーザー向けに書かれた「図書館利用ガイド」はごく少ない。
 私の知るかぎり、類書の中では『別冊宝島EX/図書館をしゃぶりつくせ!』(宝島社)がいちばんよくできていた。しかしこれは10年以上前に出た本なので、いまとなっては情報が古すぎる。ネット時代の図書館オンライン化に対応した新しい利用ガイドが、待ち望まれていたのだ。本書はまさにそのニーズにこたえたものである。

 入門書として書かれたものなので、私のような「図書館オタク」にはいささか物足りない。ただし、図書館初心者――「あー、卒論書かなくちゃ。でも図書館で何をどう調べたらいいんだろ?」という学生など――が読む分には、すこぶる役に立つ内容だと思う。

 難を言えば、記述のウエイトがアカデミックな分野の情報検索に偏りすぎている。
 あたりまえの話だが、図書館での調べものは、何も学術論文を書くためにだけなされるわけではない。もっと下世話な調べもの、たとえば我々ライターが雑誌記事を書く場合の調べものには、また別の作法とコツがある。そのへんが、本書にはスッポリ抜け落ちていると感じた。

 それと、実用書なのだから平明な実用的記述に徹すればよいものを、著者の文章には無駄な装飾が多すぎるし、図書館に対する過剰な思い入れが鼻につく。たとえば――。

「資料・情報を探索する世界で戦い抜くには、ボクサーがジムでトレーニングを欠かさないように、不断に探索の訓練が必要になる」
「常に自分自身の鉱脈を鶴嘴で掘り当てようとするモチベーションを保持すること。このモチベーションの持ち方こそが、図書館利用の巧拙を決める最終的なポイントになる」

 巌流島じゃあるまいし、たかが図書館の利用法について書くのに、何をこんなに力んでいるんだろう、この著者は。

 そんなふうにケチをつけたくなる部分もあるが、全体的にはなかなかためになる本である。
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読書記録:井上真琴 図書館に訊け!

[書誌情報] タイトル   図書館に訊け! 著者     井上 真琴 出版社 ...

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前原政之 
イラスト/ジョージマ・ヒトシ

前原政之(まえはら・まさゆき)
1964年3月16日、栃木県生まれ。55歳。
1年のみの編プロ勤務(ライターとして)を経て、87年、23歳でフリーに。フリーライター歴31年。
東京・立川市在住。妻、娘、息子の4人家族。

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