細木数子に口あんぐり。

 ゆうべ、晩飯を食いながら細木数子メインのなんとかいうテレビ番組を見ていたのだが、思わずブホッと噴飯してしまうような発言があった。

 細木いわく、「女を3人泣かせた男は、糞づまりになって死ぬ」のだそうである。 で、その「根拠」はというと……。

「姦通罪というのがあるのよ。『姦』という字は女が3つだから……」

 わかったわかった、みなまで言うな。

 細木数子の本はずいぶん売れているそうだけれど、こんなクダラナイ語呂合わせみたいなご託宣が並んでいるのだろうか?
 キワモノの娯楽として楽しむならまだしも、こんなご託宣を本気で信じているヤカラがいるとは驚きである。

 じつは私は、駆け出し時代に占い系の単行本のゴーストを何冊もやったことがある。その中の一つに、運気を高めるための「研究会」(さしさわりがあるので、正確な名前は書けない)を主宰する人の本があった。
 私が取材してその人の談話を本にまとめたのだが、用意していた質問が途中で底をついたので、その場の思いつきで、「先生、運気のよくなる寝相というものはありますか?」と質問した。

 「『くだらんことを聞くな!』って怒られるかなあ」と思いながら聞いたのだが、その「先生」は上機嫌でこう答えた。

「ええ、あります。寝相の悪さにも二種類ありまして、だんだんふとんの上にずり上がっていく人は運気がよい。逆に、下にずり下がっていく人は運気が悪い。だから、社員旅行などで上司の寝相を見る機会があったなら……」

 「アンタそれ、たったいま考えたことちゃうんかい?」と言いたくなる気持ちをぐっとこらえた。

 しかし、こんなクダラナイことを言うオッサンが主宰していたその「研究会」には、一流企業に勤めるエリートサラリーマンなど、知的レベルの高そうな人も集っていた。不思議である。

 面白いから、単行本の中にはその「運気のよくなる寝相」の話もそっくり入れてやった。あれを読んで真に受けた人もいるかもしれない。申しわけないことをした。いま思えば、あれは「トンデモ本」であった。

 ゴーストの聞き書き仕事の場合、取材は何度かに分けて行なうのが普通である。その「研究会」会長にも何度か取材を重ねたのだが、相手も私に対してだんだん打ち解けてきて、ホンネを話してくれるようになった。

 ま、そのこと自体はライターとしてはうれしいのだが、困ったことに、その人がホンネで話してくれたその内容は、およそ「運気を高めるための研究会」の会長とは思えないものなのであった。「じつは子どもの家庭内暴力で悩んでいる」とか、そんな不幸話ばっかりだったのである。

 「アンタ、全然運気高まってないやん!」とツッコミたくなった。

 ま、細木数子だろうと誰だろうと、占い師のたぐいなんてそんなものである。真に受けるより、キワモノの娯楽として消費すべし。
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前原政之 
イラスト/ジョージマ・ヒトシ

前原政之(まえはら・まさゆき)
1964年3月16日、栃木県生まれ。55歳。
1年のみの編プロ勤務(ライターとして)を経て、87年、23歳でフリーに。フリーライター歴32年。
東京・立川市在住。妻、娘、息子の4人家族。

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●「mm(ミリメートル)」は、私のイニシャル「MM」のもじりです。

●私の大好きなギタリスト・渡辺香津美氏は、ご自身のイニシャル「KW」をもじった「KW(キロワット)」を、公式サイトのタイトルにしておられます(同名のアルバムもあり)。それにあやかったというわけです。

●あと、「1日に1ミリメートルずつでもいいから、前進しよう」という思いもこめられています(こじつけっぽいなあ)。

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