いい人であることと……。


 高塚猛・前ダイエーホークス/ダイヤモンド社社長がセクハラ(強制わいせつ容疑)で逮捕!
 高塚氏を何度か取材して記事を書いたことがある私には、ショッキングなニュースである。

 少し前から週刊誌等で氏のセクハラ行為が告発されてはいたものの、私は話半分に受け止めていた。「ダイエーの派閥争いに巻き込まれて、針小棒大にあることないこと言われているんだろう」と思っていたのだ。

 しかし、逮捕後の一連の報道を見ると、少なくとも女子社員に抱きついたりキスしたりといったセクハラ行為をくり返していたのは事実のようだ(本人も認めている。「ハグしたり、ほっぺにキスしたり、自分では良好なコミュニケーションだと思っていた」だって。あ、あのなあ……)。

 私はライターとして、自分が直接取材したときに受けた印象にはかなりの自信をもっている。世間でどんなに悪く言われている人でも、取材時の印象がよければ、世間の評価よりその印象のほうを信ずる。逆もまた真である。

 高塚さん、部下への思いやりと強力なリーダーシップを兼ね備えた素晴らしい経営者だと思ったんだけどなあ……。私に王監督のサインボールくれたし。いや、サインボールをもらったからというわけではなく(笑)、取材時に受けた印象として。

 てゆーか、きっと、高塚氏が経営者として有能であり、「いい人」であるという私の受けた印象は、間違ってはいないと思う。

 作家の徐京植(ソ・キョンシク)が、高橋哲哉との対談集『断絶の世紀 証言の時代』(岩波書店)でこんなことを言っていた。

「いい人であることと、侵略者であることは矛盾なく両立します。しかし、多くの日本人はその区別を認識できないようです」

 戦時中に一部の日本軍人が中国などで行なった蛮行について、「あの人はいい人だから、そんなことをするはずがない」という言い方をする人が多いことを指した発言である。

 同様に、いい人・有能な経営者であることと“セクハラ大魔王”であることも、「矛盾なく両立」してしまうのだな。
 うーん、ショック。
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前原政之 
イラスト/ジョージマ・ヒトシ

前原政之(まえはら・まさゆき)
1964年3月16日、栃木県生まれ。55歳。
1年のみの編プロ勤務(ライターとして)を経て、87年、23歳でフリーに。フリーライター歴31年。
東京・立川市在住。妻、娘、息子の4人家族。

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