『にんげんだもの・相田みつを物語』

にんげんだもの にんげんだもの
相田 みつを (1984/04)
文化出版局

この商品の詳細を見る

 ドラマ『にんげんだもの・相田みつを物語』を観た。

 相田みつをは、私の故郷・栃木県足利市の人である。
 足利市民は、相田が全国的にブレイクする以前から、その書になじんでいた。ドラマにも登場した和菓子屋「香雲堂」の菓子をもらうと、箱の中に相田の書をあしらったカードが必ず入っていたのだ。
 また、相田の書額を飾っていた商店なども、ブーム以前からわりと多かった。

 ドラマの中では、足利の風景がじつに美しく撮られていた。とくに、夕陽の美しさは印象的。いま松浦亜弥が歌っている「渡良瀬橋」(元は森高千里の曲)も足利を舞台にした歌だが、あの曲の歌詞にもあるとおり、足利は「夕陽がきれいな街」なのである。

 相田みつを(木梨憲武)が自作の書を売り歩く場面などで、周囲に「ガシャコン! ガシャコン!」という織機の音がつねに響いているあたりも、懐かしかった。足利は「織物の町」であったから、私が子どものころにはどこへ行ってもあの音が聞こえたものだ。

 私は、相田みつをに対してはとくに思い入れがない。
 このドラマを観たのは、一つには足利が舞台であるからで、もう一つには長年ファンである薬師丸ひろ子が相田の妻役で出演していたから。

 しかし老けたなあ、薬師丸ひろ子。ま、彼女ももう不惑だから。
 もっとも、タメ年の私も、傍目から見たら同程度に老けているのだろう。「昔のアイドル」は、己が加齢を痛感させる哀しきメルクマールなのである。

 貧しさに耐え、息子を溺愛する姑(室井滋が熱演)の冷たい仕打ちにも耐えて、けなげに夫を支える、絵に描いたような良妻の役。
 薬師丸の「優等生キャラ」にあまりにハマリすぎで、あたりまえすぎてつまらないキャスティングだ。

 彼女はむしろ、破天荒なキャラ、こわれた感じのキャラを演じるときにこそ光る女優なのである。“女子高生組長”を演じた『セーラー服と機関銃』や、情緒不安定なアル中女を演じた『きらきらひかる』が傑作となったように。

 ただ、ドラマとしては、素直でていねいな作りに好感がもてる良作だと思った。
 「高度成長の権化」のような友人(石黒賢)と相田みつをの露骨な対比は、類型的にすぎてげんなりしたけど……。
関連記事

トラックバック


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

香雲堂本店「古印もなか」と香雲堂「古銭もなか」・・・栃木県足利市

栃木県足利市にある和菓子の老舗「香雲堂本店」と「香雲堂」というのは、経営が全く別の会社である。それぞれの店で「古印もなか」(香雲堂本店)、「古銭もなか」(香雲堂)という銘菓が販売されている。どういう経緯でこういった紛らわしい店名そして、販売の中心である...

コメント

コメントを残す

Secret


Guide 

   →全記事インデックス

Profile 

前原政之 
イラスト/ジョージマ・ヒトシ

前原政之(まえはら・まさゆき)
1964年3月16日、栃木県生まれ。55歳。
1年のみの編プロ勤務(ライターとして)を経て、87年、23歳でフリーに。フリーライター歴32年。
東京・立川市在住。妻、娘、息子の4人家族。

Counter 

メールフォーム

★私にご用の方はここからメールを下さい。

お名前
メールアドレス
件名
本文

最近の記事

マイ「神曲」ベスト100

カテゴリー

ブクログ・MY本棚

タイトルの由来

●「mm(ミリメートル)」は、私のイニシャル「MM」のもじりです。

●私の大好きなギタリスト・渡辺香津美氏は、ご自身のイニシャル「KW」をもじった「KW(キロワット)」を、公式サイトのタイトルにしておられます(同名のアルバムもあり)。それにあやかったというわけです。

●あと、「1日に1ミリメートルずつでもいいから、前進しよう」という思いもこめられています(こじつけっぽいなあ)。

Archives

アクセスランキング

[ジャンルランキング]
本・雑誌
30位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
和書
21位
アクセスランキングを見る>>