![]() | 能率手帳の流儀 (2007/10/02) 野口 晴巳 商品詳細を見る |
昨日のエントリでベストセラーになった“手帳本”をけなしたので、行きがかり上、私の手帳遍歴と手帳術について書いてみよう。
80年代のシステム手帳ブームのころには、私もバイブルサイズのシステム手帳に凝った。ご多分にもれず、山根一眞の『スーパー手帳の仕事術』にかなり影響を受けた。
それからしばらくしてSD手帳(システムダイアリー)に乗り換え、手帳のスペシャリスト・長崎快宏氏の著作に影響されて、これもずいぶん凝った。リフィルを自作したり、使用済みのリフィルを分野別に保管して簡易データベース化したり……。
SD手帳は一昨年まで使っていたので、いちばんつきあいの長い手帳になった。
その後、野口悠紀雄氏の「超・整理手帳」に乗り換えてみたが、これは私には合わず、2ヶ月で放棄。
何が合わなかったかというと、サイズである。超・整理手帳はビジネスマンが使うことを前提に考えられているので、背広の内ポケットにピッタリ収まるような“札入れサイズ”になっている。ところが、自由業の私はあまり背広を着ない。さりとて、ズボンのポケットに入れるには大きすぎたのだ。
で、けっきょく、昨年からはごく普通の手帳を使っている。
具体的には、仕事先の一つ・潮出版社からいただく「文化手帳」である。「能率手帳」などに近いタイプだ。
ただし、市販のものとは異なり、文化人の住所録などの「資料編」が充実しており、何かと重宝。有田芳生や岸本葉子など、物書きの愛用者も多い手帳である。
かつてのシステム手帳はアドレス帳・電話帳を兼ねていたわけだが、いまはケータイがその機能を担ってくれるから、手帳はスケジュール管理に特化することができる。ごく普通のアナログ手帳で十分なのだ。
「手帳術」というほどのものではないが、手帳を乗り換えても一貫してつづけてきた私なりの使い方がある。
一つは、スケジュール管理に使う手帳がそのまま日記にもなるようにしている点だ。
私はいつも、ダイアリー部分が見開き1週間形式になっている手帳を選ぶ。そして、ダイアリーの空白部分(右ページ)にタテ線を引いて5つに分割し、各ブロックに次の5つの事項を書き入れていく。
1.その日行った場所、2.会った人、3.やった仕事、4.観た映画や読んだ本など、5.その他の特記事項
「その他の特記事項」の欄に書く事柄は、なんでもよい。
個人的な特記事項でもよいし、自分にとって衝撃的であった一般ニュースを記入してもよい。つまり、その日がどんな日であったかをあとで思い出す手がかりとなることを書いておくのだ。
これだけのデータを記入しておけば、生活記録としては必要十分である。
私はこの「データ日記」をフリーになった年(1987年)からずっとつけつづけているので、18年前に何をしていたかがちゃんとわかる。
パソコンで記録をつければ検索も容易だが(たとえば、「〇〇さんと初めて会ったのはいつか?」などがすぐに検索できる)、なんとなく手書きのアナログ形式のほうがしっくりくるので、いまだにデジタル化していない。
それに、いまはこのウェブ日記が検索用の生活記録になっているから、手帳はアナログのままで十分である。
手帳には、見開き一週間のダイアリーとは別に、「年間計画メモ」、「月間計画メモ」のページも用意されている(これはたいていのビジネス手帳も同じ)。
私はこのページに、今年一年のさまざまなプランや目標を書き込むことにしている。残念ながら実現に至らない場合が多いけれど……。
また、名刺などを入れるポケットがあるので、そこには大量に使い残したSD手帳の「基本用紙」がつねに何枚か挟んである。とっさにアイデアが浮かんだときにはこの用紙にメモし、必要に応じてSD手帳用バインダーに保存しておくのだ。
さらに、独自の工夫として、手帳にセットするペン・ホルダーを自作(クリアファイルをハサミで切ってボンドで固めた)し、そこに三色ボールペンを入れてある。つまり、手帳と三色ボールペンがつねにワンセットになっているのだ。
齋藤孝の「三色ボールペン情報活用法」を真似したわけではなく、以前からつづけている習慣である。手帳に記入する際、次のように色分けするためだ。
黒=仕事のスケジュール、青=プライベートのスケジュール、赤=原稿のシメキリ
いちいち色を使い分けるのは面倒くさそうに思えるかもしれないが、慣れてしまえば無意識でできる。そして、色分けすると手帳がぐっと見やすくなるのだ。
ついでに、「ライター生活の知恵」を一つご紹介。
私は、ビジネス手帳に載っているその年の「満年齢早見表」を拡大コピーし、執筆デスクの前に貼っておくようにしている。
ささいな工夫だが、これが原稿執筆の際に役に立つ。ものすご~く役に立つ。原稿に登場するさまざまな人の年齢が一瞬で把握できるし、とっさに頭に浮かびにくい西暦年と元号年の照合も瞬時にできるからだ。
ライター諸氏にオススメである(物書き以外の人にはとくに役に立たないと思うけど)。
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