『真夜中の弥次さん喜多さん』



 六本木のアスミック・エース試写室で、『真夜中の弥次さん喜多さん』の初号試写を観た。

 公式サイト→ http://yajikita.com/

 クドカンこと宮藤官九郎が、監督に初挑戦した話題作(もちろん脚本もクドカン)。原作はしりあがり寿の同名マンガ。手塚治虫文化賞も受賞した、しりあがりの代表作である。4月公開予定。

 一筋縄ではいかない強烈な映画だった。
 絶賛の評価が大半だった『GO』や『ピンポン』(いずれもクドカンの脚本)とは違い、賛否両論真っ二つになるのではないだろうか。この映画にノレるかノレないかで観た側の感性が試される、「感性のリトマス試験紙」という趣の作品なのである。

 弥次さん喜多さんのコンビが「てめえ探しの旅」(笑)として「お伊勢参り」にバイク(!)で旅立つ前半部までは、クドカン流ギャグの連打で見せる「パンクな時代劇」という雰囲気。正直、前半はあまりノレなかった。

 だが、「死」というメインテーマ(原作もそう)が前面に出てくる後半部になると、ただならぬ迫力が画面に漂い始める。この映画で描かれる「死の世界」のイメージの強烈さ、ぶっ飛びかげんといったら、丹波哲郎の『大霊界』が裸足で逃げ出すほどである。

 しかも、後半にもやはりギャグがちりばめられているので、観客はときおり声をあげて笑いながら、重くて切ない死のイメージと向き合うのである。そのギャップが、なんとも不思議な酩酊感を生む。
 そう、これはドラッグのような映画だ。ストーリーを追うよりも、作品世界にトリップすべし。

 ZAZEN BOYS(元ナンバーガールの向井秀徳とアヒト・イナザワのバンド)の担当した音楽が、またなんとも強烈。
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前原政之 
イラスト/ジョージマ・ヒトシ

前原政之(まえはら・まさゆき)
1964年3月16日、栃木県生まれ。55歳。
1年のみの編プロ勤務(ライターとして)を経て、87年、23歳でフリーに。フリーライター歴32年。
東京・立川市在住。妻、娘、息子の4人家族。

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