Coccoとくるりがコラボした話題のバンドSINGER SONGERのファースト・アルバム『ばらいろポップ』(ビクター/3045円)が、アマゾンから届いた。本日発売である。
さっそく一聴。よい。しみじみとよい。先行シングル「初花凛々」がポップで明るい曲だったように、明るい曲ばかりだ。
もっとも、私はもともとCoccoの曲が暗いとはけっして思わない。
リストカッターの少女を主人公にした「Raining」(名曲)のようにヘビーな歌詞のものが多いのはたしかだが、Coccoの曲には根底にいつもあふれんばかりの生命力が感じられるからだ。
ただし、今回のアルバムは「表面は暗いけど根は明るい」どころではなく、表面からメチャメチャ明るくてポップ。「遺書。」のような情念の爆発を思わせる曲は一つもなく、「陽気なCocco」が前面に出ているのだ。まさに「ばらいろポップ」。Coccoのソロ・アルバムより一般受けしそう。
「初花凛々」のビデオクリップでは、髪を思いきりショートにして微笑むCoccoの姿が印象的だった(正直、初めて「Coccoマジかわいい」と思いました)。昔の長い髪のCoccoが巫女を思わせたのとは対照的。
なんだか、Coccoから「憑き物」が落ちたよう。世の中をナナメに見て突っぱらかっていた女性が、子どもを産んだとたん菩薩のような顔に変貌することがままあるけど、そんな感じ。
全10曲中、くるりの岸田が書いた曲は1曲のみ。あとは全部Coccoの曲。その意味でこれは、「くるりとのコラボによって作られた、Coccoの4年ぶりのニューアルバム」といってもよい。
新しい「陽気なCocco」のスコーンと抜けた感じが、乾いた風が吹き抜けていくようなくるりの音にぴったりマッチしている。
ジャズの弾き語りのような渋い味わいの「Baby, tonight」とか、Coccoの熱唱がどことなくAORっぽい「オアシス」など、過去のソロでは見せなかった新境地も。
私が気に入った曲を挙げると、「ロマンチックモード」「Millions of Kiss」「Come on you」「オアシス」、そして「初花凜々」。この5曲をつづけて聴くと、幸せな気分になれる。
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