渡邊あゆみアナ礼賛


ママ、明日はお休み?ママ、明日はお休み?
(1996/04)
黒田 あゆみ

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 私が突然こんな番組をホメると驚く人もいるだろうが、NHKのお昼の番組『スタジオパークからこんにちは』は素晴らしい。
 
 何が素晴らしいかというと、芸能人などをゲストにしたトーク・コーナーだ。
 「トーク」と銘打たれているが、実質上は渡邊あゆみアナによる「インタビュー」である。そしてこのコーナーは、我々ライターが仕事で行う取材/インタビューのよき手本となるものだ。

 ライターの仕事の中でも、インタビューというのは場数を踏んで少しずつ慣れていくしかないところがある。ただ、場数を踏む以外のブラッシュアップ法もないではない。それは、「取材巧者の取材現場を見る(あるいは聴く)」ということである。

 たとえば、ベテラン・ライターのインタビューに同行したり、取材テープをテープ起こししたりすることが、それにあたる。そしてもう一つ、テレビやラジオのよいインタビューを視聴することも、勉強になる。
 「取材のお手本」という意識で接してみると、「そうか、こんなふうに話を進めていけばいいんだ」「話が脱線しそうになったらこうやって軌道修正するんだ」などと、感心する点が多いはずだ。

 ラジオは最近ほとんど聴いていないのでオススメ番組はないが、テレビについていえば、『スタジオパーク』のトークはイチオシである。

 渡邊あゆみとは、かつての「久能木あゆみ」「黒田あゆみ」である(結婚・離婚・再婚のたびに仕事上の名前を変えるアナウンサーも珍しい。NHKには「戸籍名を名乗らねばならない」という規則でもあるのか?)。
 ニュースを読んでいるときにはさしたる印象をもたなかったが、インタビューをさせるとじつにうまい。

 『スタジオパーク』のトークは基本的に生放送なので、淀みなく話を進めるために彼女は緊張して臨んでいるのがわかる。それでいて、その緊張をけっして表面には出さず、楽しい雰囲気で話を進めていく。たいへんな技術だと思う。

 「ライター入門」のたぐいを読むと、『徹子の部屋』を「インタビューの手本」として挙げているものが多い。永江朗も『インタビュー術!』の中で挙げていた。
 しかし私は、黒柳徹子のインタビューはライターの参考にはならないと思う。あれは、話の進め方が細部まであらかじめ決まっているダンドリ芝居である。見事な話芸だとは思うが、ライターのインタビューとは似て非なるものだ。

 もちろん我々も、質問を練り、話の流れをある程度決めたうえでインタビューに臨む。しかし、ライターのインタビューには、想定問答からはみ出していく部分が必ずある。また、そうした部分がなければよいインタピューにはならないのだ。

 『スタジオパーク』のトークが、どの程度リハーサルしたうえで行われているのかはわからない。たぶん、大まかな流れとか質問事項をゲストに伝えるだけで、細部はぶっつけ本番なのではないか。そう思わせる生放送ならではの緊張感がこの番組にはあって、だからこそライターにも大いに参考になるのである。

 お昼の番組だから勤め人には見にくいだろうが、ライターやライター志望者なら、録画してでも見る価値がある。

 なお、トークでは渡邊アナと男性アナ(後藤理)の2人が聞き役なのだが、男性アナは横でアシスト役に徹している。この点、ふつうのトーク番組と男女の役割が逆であるのが面白い。
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前原政之 
イラスト/ジョージマ・ヒトシ

前原政之(まえはら・まさゆき)
1964年3月16日、栃木県生まれ。53歳。
1年のみの編プロ勤務(ライターとして)を経て、87年、23歳でフリーに。ライター歴30年。
東京・立川市在住。妻、娘、息子の4人家族。

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