矢野顕子『誰がために』

誰がために オリジナル・サウンドトラック 誰がために オリジナル・サウンドトラック
矢野顕子 (2005/10/13)
ジェネオン エンタテインメント

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 矢野顕子が音楽を手がけた映画『誰がために』のサントラ盤(ジェネオン エンタテインメント/2500円)を買ってきた。 → 『誰がために』公式サイト

 彼女は、過去にアニメの音楽を担当したことはあるが、実写映画の音楽を手がけるのはこれが初めてである。

 
 冒頭にヴォーカル入りのテーマ曲「誰がために」が収録されているが(ただし、このバージョンは映画には使われていないそうだ)、それ以外は全編ピアノ・ソロで構成されている。
 
 私はもともと矢野顕子のピアノが大好きである。シンガーとしてよりも、ソングライターとしてよりも、まずピアニストとしての彼女のファンなのだ。ジャズやクラシックの世界まで含めても、矢野顕子ほど素晴らしいピアニストはめったにいないと思っている。
 そんな私にとって、矢野顕子のピアノだけをじっくり聴けるこのアルバムはじつにうれしいプレゼントである。

 肝心の映画のほうを私はまだ観ていないのだが、一面識もない少年に恋人を殺されてしまったカメラマンが主人公の、わりと重い映画であるようだ。
 そのためもあって、音楽のほうも寂寥感に満ちたものになっている。

 矢野顕子の音楽にはもともと、深い寂寥感がある。ただ、ヴォーカル入りの通常のアルバムの場合、その寂寥感の周囲をあたたかさと愉しさがおおっている。しかし、このアルバムは寂寥感がむき出しだ。ピアノの一音一音が、寂しく切ない。

 「聴く者の心を芯から温める」いつものアッコちゃんを期待する向きには、このアルバムはやや期待外れかもしれない。しかし、私は大いに気に入った。映画を離れて独立した価値をもつ作品だと思う。
 ただ、収録時間33分弱というのは、ちょっと短かすぎ。もっとじっくり彼女の清冽なピアノを聴いていたかった。
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前原政之 
イラスト/ジョージマ・ヒトシ

前原政之(まえはら・まさゆき)
1964年3月16日、栃木県生まれ。55歳。
1年のみの編プロ勤務(ライターとして)を経て、87年、23歳でフリーに。フリーライター歴31年。
東京・立川市在住。妻、娘、息子の4人家族。

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●「mm(ミリメートル)」は、私のイニシャル「MM」のもじりです。

●私の大好きなギタリスト・渡辺香津美氏は、ご自身のイニシャル「KW」をもじった「KW(キロワット)」を、公式サイトのタイトルにしておられます(同名のアルバムもあり)。それにあやかったというわけです。

●あと、「1日に1ミリメートルずつでもいいから、前進しよう」という思いもこめられています(こじつけっぽいなあ)。

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