京都小6女児刺殺事件について

 子供が標的になる犯罪が多くて気の滅入る昨今だが、塾講師による京都小6女児刺殺事件は、同じく小6の娘をもつ私にとって、ことのほかやりきれない。

 うちの娘も塾に通っているし、塾の講師について無造作な“品評”を口にしたりもする。まったくもって他人事ではないのである。

 犯人が鬼畜系ロリオタで、被害女児に一方的な恋慕の念を寄せていた、という可能性もないではない(イヤな可能性だ)。が、私が推察するに、いまどきの学習塾の厳しい講師評価システムも、背景要因の一つではないか。

 私は少し前にある大手学習塾チェーン(今回の事件の舞台になった「京進」ではない)の経営者を取材したことがあるのだが、その際に、塾講師の世界のシビアな実態を知って驚いた。
 
 大手の学習塾では、各講師が受け持ちクラスをどの程度成績アップさせたかによって、「講師の成績」が明確な数字となって出るシステムになっている。そして、成績の下がったクラス、上がらないクラスについては、講師の責任が厳しく問われるのだ。

 また、生徒たちに講師を評価させる定期的なアンケート調査を導入している塾も多い(娘の通っている塾にもあるそうだ)。
 つまり、大手学習塾においては、生徒は評価されるのみならず、“講師を評価する側”でもある。その点が、公立校の教師と生徒の関係とは違う。
 
 生徒の成績とアンケート調査にあらわれた講師の能力が、経営サイドがその講師を評価する基準になる。マイナス評価が改善されなければ、ボーナスや昇給の査定にも響くし、降格などもあり得る。
 そして、「使い物にならない」と判定された講師は、教科担当から外して事務の仕事に回されたり(すると、大半の教師は自ら塾を去るという)、ときには解雇されたりする。それくらい厳しい世界なのだ。
 
 学習塾も営利企業である以上、社員の能力がシビアに評定されるのは当然の話だ。ただ、今回の事件の犯人は、そうした厳しさに耐えられないほど心が弱かったのではないか。

 「熱心な先生だった」という周囲の評価もあるようだから、受けもった生徒の成績を上げようという努力はつづけていたのだろう。だからこそ、自分を嫌い、塾側に申し出てクラスから外れたという被害女児に対して、憎しみの感情を抱くようになったのではないか。
 犯人の目には被害女児が、“審査員席でただ一人、自分をボロクソにけなした審査員”のように映ったのではないだろうか。

 むろん、だからといって犯人の行為に同情の余地などなく、被害女児に微塵も罪がないことはいうまでもないが……。

だれでも出来る学習塾!

関連記事

トラックバック


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

気になるニュース(教育業界)

京進、小6女児殺害で経営“不合格”危機講師管理不備、指導法の不手際露呈京都府宇治市の学習塾「京進宇治神明校」でアルバイト講師が女児を殺害した事件で、同校を運営する大手学習塾チェーン「京進」(本社・京都市下京区)の経営の暗雲が漂っている。事件で講師の採用、

コメント

コメントを残す

Secret


Guide 

   →全記事インデックス

Profile 

前原政之 
イラスト/ジョージマ・ヒトシ

前原政之(まえはら・まさゆき)
1964年3月16日、栃木県生まれ。55歳。
1年のみの編プロ勤務(ライターとして)を経て、87年、23歳でフリーに。フリーライター歴31年。
東京・立川市在住。妻、娘、息子の4人家族。

Counter 

メールフォーム

★私にご用の方はここからメールを下さい。

お名前
メールアドレス
件名
本文

最近の記事

マイ「神曲」ベスト100

カテゴリー

ブクログ・MY本棚

タイトルの由来

●「mm(ミリメートル)」は、私のイニシャル「MM」のもじりです。

●私の大好きなギタリスト・渡辺香津美氏は、ご自身のイニシャル「KW」をもじった「KW(キロワット)」を、公式サイトのタイトルにしておられます(同名のアルバムもあり)。それにあやかったというわけです。

●あと、「1日に1ミリメートルずつでもいいから、前進しよう」という思いもこめられています(こじつけっぽいなあ)。

Archives

アクセスランキング

[ジャンルランキング]
本・雑誌
34位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
和書
23位
アクセスランキングを見る>>