『JAPON』


JAPON―Japan×France manga collectionJAPON―Japan×France manga collection
(2005/12)
安野 モヨコ

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  『JAPON』(飛鳥新社/1238円)購入。
 日仏のマンガ家たちが、「日本」をテーマに競作した短篇を集めたアンソロジー。夏目房之介さんが「コミックパーク」の連載で紹介されていたのを読んで、興味をもったしだい。

 日本から参加しているのは、安野モヨコ、松本大洋、花輪和一、谷口ジロー、高浜寛、五十嵐大介、沓澤龍一郎の7人。
 フランス勢9人は、母国では知られた名前なのかもしれないが、私が知っているのはフレデリック・ボワレのみ。もっとも、ボワレ氏は現在日本在住で、日本の出版社から何冊も作品集を出している人だけど。

 序文には、次のようにある。

 「JAPON」は、日仏学院、アリアンス・フランセーズ、フランス大使館の協力のもと、日仏の漫画交流の一環として考えられた企画です。日仏学院、アリアンス・フランセーズの招聘により、フランス人漫画家8人を日本に呼び寄せ、北海道、仙台、東京、名古屋、京都、大阪、四国、九州の各地方に滞在してもらい、その地を舞台にした漫画を描いてもらいました。



 日本を初体験するフランス人マンガ家たちのカルチャー・ショックを刻みつけた作品と、個性豊かな日本のマンガ家たちが「日本」を表現した作品のコラボレーション。そう聞いただけで、マンガ好きなら思わず「読んでみたい!」と手が伸びる。じつに好企画といえよう。

 で、実際に読んでみた感想。
 日本のマンガに慣れている当方としては、やっぱり日本勢のマンガのほうが読みやすい。フランス勢は、よく読めば面白いのだけれど、読むのに少し努力が要った。マンガとしての「文法」がまったくちがうのだ。

 フランスのマンガは「BD」(=バンド・デシネ、ベデ)と呼ばれ、日本のマンガとは異なる独自の発展を遂げている。
 たとえば、矢作俊彦は「BD」について次のように書いた。
 

 フランスでは、いわゆる「劇画」のことをバンドデシネという。帯状のコンテといった意味合いだ。ページを開けば一目瞭然。それは、まさしく映画の絵コンテ、それも極めのカットばかり抜粋した絵コンテ集である。
 ワンカットワンカットの絵は、それはそれはすばらしいものだ。(中略)
 だが、われわれ、最もすぐれた「マンガ文化」(そのことは当のフランス人が認めている)の洗礼を受けてきた者の目には、どこかかったるい。日本のどんな下手くそなマンガより、物語のダイナミズムに欠けている(すぎむらしんいち『ホテル・カルフォリニア』愛蔵版の解説より)



 本書についても、私は同様の感想を抱いた。フランス勢の作品は、絵としてはまことに素晴らしいのだが、スタティックにすぎる。絵が「止まっている」感じなのだ。

 ただ、細部はなかなか面白い。「へえ、フランス人から見ると日本はこう映るのか」というパーセプション・ギャップの面白さである。
 
 日本勢では、五十嵐大介(『リトル・フォレスト』の人)、安野モヨコ、松本大洋、谷口ジローの作品がよかった。
 松本の作品は民話風、安野の作品は亡き杉浦日向子へのオマージュのような江戸情緒絵巻で、それぞれふだんの作風とはまったくちがうところが面白い。 
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前原政之 
イラスト/ジョージマ・ヒトシ

前原政之(まえはら・まさゆき)
1964年3月16日、栃木県生まれ。55歳。
1年のみの編プロ勤務(ライターとして)を経て、87年、23歳でフリーに。フリーライター歴31年。
東京・立川市在住。妻、娘、息子の4人家族。

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●「mm(ミリメートル)」は、私のイニシャル「MM」のもじりです。

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●あと、「1日に1ミリメートルずつでもいいから、前進しよう」という思いもこめられています(こじつけっぽいなあ)。

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