イェニー・ヨルダル、マルタ・ブレーン『ウーマン・イン・バトル』



 イェニー・ヨルダル画、マルタ・ブレーン文、枇谷玲子訳『ウーマン・イン・バトル――自由・平等・シスターフッド!』(合同出版/1760円)読了。

 日本での刊行は珍しいノルウェーのマンガである。

 19世紀後半から現在まで、過去150年にわたる世界の歴史の中から、参政権をはじめとした人権を勝ち取るために闘ってきた女性たちの姿を描いている。

 ただし、内容は欧米中心(一部は中東のイスラム国家が舞台)で、残念ながら、日本などアジアにおける女性たちの闘いは描かれていない。

 アメリカにおける(女性たちにとっての)奴隷解放運動から説き起こされ、マララ・ユスフザイさんのノーベル平和賞受賞(2014年)までが取り上げられている。また、同性愛差別に抗する闘いにも一章が割かれている。

 英国における女性参政権を求めた「サフラジェット」の運動にも、大きくページを割いている。
 サフラジェットについては、2015年の映画『未来を花束にして』(よい映画だった)にも印象的に描かれていた。あの映画でメリル・ストリープが演じたエメリン・パンクハーストも、本書の重要な登場人物の一人となる。

■関連エントリ→ 『未来を花束にして』

 本作は、2018年ノルウェー文化省児童書ノンフィクション部門最優秀賞、2019年ボローニャ・ラガッツィ賞優秀賞(ノンフィクションの部)を受賞している。

 フェミニズム史を大づかみに理解するための入門書として、とてもよくできている。
 おもな対象読者は10代の少女だろうが、大人が読んでも、また男性が読んでも勉強になる。私も、本書で初めて知ったことが少なくない。

 ただ、マンガとして面白いかといえば、ちょっと微妙。
 コマ割りもされているし、セリフはスピーチ・バルーン(吹き出し)の中に描かれているから、マンガには違いない。だが、日本のマンガを読み慣れた目から見ると、動きに乏しくてかったるい。
 マンガというより、「イラストをマンガ的に構成した作品」という印象なのだ(イラストとしての質は高いのだが)。

 逆に言えば、動きの表現に関して、日本のマンガは世界に冠たる独自の進化を遂げているということだろう。

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前原政之 
イラスト/ジョージマ・ヒトシ

前原政之(まえはら・まさゆき)
1964年3月16日、栃木県生まれ。55歳。
1年のみの編プロ勤務(ライターとして)を経て、87年、23歳でフリーに。フリーライター歴32年。
東京・立川市在住。妻、娘、息子の4人家族。

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