赤松利市『純子』



 赤松利市著『純子』(双葉社/1404円)読了。

 私が赤松利市作品を読むのは、これが4作目。
 そのうちのマイベストは前作に当たる『ボダ子』だが、この『純子』もなかなかのものであった。

 ただ、一作ごとに「読者を選ぶ」度合いが高まっているように思う。逆に言えば、「一般ウケする無難な作風」からどんどん離れて、茨の道・けもの道を突き進んでいるのだ。

 〝クズな男としての自分〟の歩みを赤裸々に描いた私小説『ボダ子』も相当に「読者を選ぶ」作品だったが、本作はそれ以上だ。

 なにしろ、最初から最後までウンコがストーリー上の重要な役割を果たす(!)という、驚愕の一作なのだから。

 といっても、いわゆる「スカトロ・マニア」向けのポルノ小説というわけではない。
 そもそも、最初から最後まで、ストレートなセックス描写は一度も出てこないのだから、ポルノではない。

 それどころか、ウンコの要素を取り除けば、心温まる美しいファンタジーと言えなくもない。
 1960年代の四国の山間部を舞台に、輝くような美少女・純子が村の危機を救う物語なのだから……。

 しかし、全編がウンコにまみれているばかりに、美しいファンタジーが読者を選ぶ異形の物語と化しているのだ。

 まあ、赤松利市が変態であることは、アナル・セックスのシーンがくり返し登場する私小説『ボダ子』によって、読者にはすでにバレバレなわけで……。
 これは、その変態ぶりをさらに全面開花させた作品といえよう。

 読者を選ぶ小説ではあるが、赤松利市の才能をさらに強烈に印象づける傑作だ。誰にも真似できない独創性と、タガの外れた想像力が炸裂している。

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前原政之 
イラスト/ジョージマ・ヒトシ

前原政之(まえはら・まさゆき)
1964年3月16日、栃木県生まれ。55歳。
1年のみの編プロ勤務(ライターとして)を経て、87年、23歳でフリーに。フリーライター歴32年。
東京・立川市在住。妻、娘、息子の4人家族。

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