『止められるか、俺たちを』



 『止められるか、俺たちを』 をDVDで観た。



 若松プロの映画作りの現場を、早逝した紅一点助監督・吉積めぐみの視点から描いた青春群像劇。
 若松孝二になんら思い入れのない当方から観ても、なかなか楽しめた。

 門脇麦が演ずる吉積めぐみを主人公に据えたことは、正解だと思う。かりにこの映画から彼女を差し引いてしまったとしたら、なんともむさ苦しい映画になったことだろう。

 足立正生、秋山道男、荒井晴彦、大島渚から赤塚不二夫に至るまで、若松プロとその周辺にいた人々が続々登場し、ゴージャス。

 1960年代末から70年代初頭にかけての、熱い「政治の季節」の東京を描いた映画としても、みずみずしい。

 若松孝二が晩年に撮った作品『11・25 自決の日  三島由紀夫と若者たち』で三島由紀夫を熱演した井浦新が、本作では若松孝二を演じている。魂の込められた熱演である。

■関連エントリ→ 『11・25 自決の日  三島由紀夫と若者たち』

 タイトルは当時の若松プロの面々から大不評を買ったらしいが、私はけっこう好きだ(昔、暴走族の写真集に同題のものがあった)。



 門脇麦の熱演が素晴らしい。「何者かになりたいが、何者にもなれない」表現者の卵――その焦燥や痛々しさまでも表現して出色だ。

 白石和彌監督の前々作に当たる『サニー/32』は世にもクダラナイ珍作だったが、それでも、あの映画でも門脇麦だけは光っていた。

■関連リンク→ 『サニー/32』レビュー

 あと、サニーデイ・サービスの曽我部恵一が手がけた音楽(最後に流れる主題歌「なんだっけ?」も歌っている)がとてもよい。



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前原政之 
イラスト/ジョージマ・ヒトシ

前原政之(まえはら・まさゆき)
1964年3月16日、栃木県生まれ。55歳。
1年のみの編プロ勤務(ライターとして)を経て、87年、23歳でフリーに。フリーライター歴32年。
東京・立川市在住。妻、娘、息子の4人家族。

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