立花隆『知的ヒントの見つけ方』



 立花隆著『知的ヒントの見つけ方』(文春新書/994円)読了。

 著者が2011年から連載している、『文藝春秋』の巻頭随筆をまとめた新書の第2弾(第1弾は2014年刊の『四次元時計は狂わない』)。

 書名から、立花が自分の「知的生産の技術」を開陳した本だと思って手に取る人もいるだろう。が、そういう話はまったく出てこない。

 立花の「知的生産の技術」本としては、『「知」のソフトウェア』(古い本だが、いまでも十分読む価値がある名著)や、『ぼくはこんな本を読んできた』所収の「体験的独学の方法」「『実戦』に役立つ一四ヵ条」がすでにあるので、それらを読むとよい。

 「巻頭随筆」というと、大物作家が日々のよしなしごとを綴るような内容を連想する向きが多いだろう。が、立花はジャーナリストだけあって、本書のエッセイに身辺雑記的なものはない。
 科学や政治などの分野を中心に、その月に起きた出来事を俎上に載せた時評的内容のエッセイである。

 立花のその手の著作というと、昔『週刊現代』に連載していた時評をまとめた『同時代を撃つ』というのがあった。これはなかなか優れた時評集で、講談社文庫版の全3冊を私は何度も読み返したものだった。

 週刊誌連載だった『同時代を撃つ』に比べ、本書は月刊誌連載だけにもう少しゆったりとした、スパンの長いテーマが選ばれている。

 老いたりとはいえ、立花の時代を見抜く目にはまだまだ鋭いものがある、と感じさせる一冊になっている。

 終盤には立花へのインタビューをまとめた2本の長い記事――「最先端技術と10年後の『日本』」と、「ノーベル賞興国論」――を収録。
 2本とも内容が濃く、読ませる。日本の未来について明るい希望が湧いてくるような内容である。

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前原政之 
イラスト/ジョージマ・ヒトシ

前原政之(まえはら・まさゆき)
1964年3月16日、栃木県生まれ。55歳。
1年のみの編プロ勤務(ライターとして)を経て、87年、23歳でフリーに。フリーライター歴32年。
東京・立川市在住。妻、娘、息子の4人家族。

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