ゲッツ板谷著『そっちのゲッツじゃないって!』(ガイドワークス/1620円)読了。
ゲッツ板谷氏、「約12年ぶりのコラム集」だそうである。
「えっ、そんなに間が空いていたっけ?」と思って当ブログ内を検索したら、前に板谷氏の著作を取り上げたのは『やっぱし板谷バカ三代』のときで、この本は9年前の2009年に出ている。
また、私は未読だが、『とことん板谷バカ三代 オフクロが遺した日記篇』も、2015年に出ている。12年ぶりじゃないじゃん。
本書の「はじめに」で、板谷氏が〝コラム集は12年前に出した『妄想シャーマンタンク』以来〟と書いているので、『板谷バカ三代』シリーズは「コラム集」に数えておらず、「エッセイ集」と位置づけているのだろう。
そんなことはともかく、内容は相変わらず楽しめる。
『そっちのゲッツじゃないって!』というタイトルは、「ゲッツ!」で知られるダンディ坂野と間違われることが多い板谷氏の自虐ギャグ。
ゲッツ板谷氏は、私と同じ町内、しかも同じ丁目に住んでいるご近所さんである。そのため、本書にも立川ネタ・近辺ネタが多く、私にはいっそう楽しめるのだ。巻末の西原理恵子との対談も面白い。
ただ、ネタの宝庫であった板谷氏のおばあちゃんとお父さんの「ケンちゃん」(=「板谷バカ三代」の初代・二代)がすでに亡くなっているため、かつての大傑作『板谷バカ三代』に比べると爆笑度が下がっていることは否めないが……。
ともあれ、2006年に脳出血で倒れ、医師からは「残念ですが文筆業という今の御職業を続けられるのは難しいと思います」と宣告された(「はじめに」の一節)板谷氏が、見事に完全復活されたことを寿ぎたい。
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