桂川潤『装丁、あれこれ』



 昨日は、ドミニカ共和国のエクトル・パウリーノ・ドミンゲス・ロドリゲス駐日大使ご夫妻を取材。西麻布のドミニカ共和国大使館にて。
 「このビル(第38興和ビルディング)、前にも来たことあるなァ」と思ったら、前に取材で赴いたコスタリカ大使館と同じビルだった(ほかにも10ヶ国以上の大使館がこのビルに入っている)。

 行き帰りの電車で、桂川潤著『装丁、あれこれ』(彩流社/1944円)を読了。書評用読書。
 売れっ子装丁家(イラストレーターでもある)の著者が、書名のとおり装丁をめぐるあれこれを綴ったエッセイ集。

 著者は文章もうまく、楽しめるエッセイ集になっている。ただし、「本好きなら楽しめる」という条件付きの面白さだが、そもそも本好きでなければ本書に手を伸ばさないだろう。

 電子書籍時代には「もはや装丁家など無用の存在」になってしまうことから、電子書籍についての言及も多い。著者の危機感とは裏腹に、電子書籍の普及はなかなか進まない。また、電子書籍時代に入ってから逆に、紙の本の価値、装丁の価値が見直されつつあるという。

 著者の仕事の舞台裏がよくわかるし、他の人気装丁家たち(菊地信義、杉浦康平、鈴木成一、坂川栄治など)に対する著者の評価も面白い。「へーえ、プロの装丁家からはそんなふうに見えるんだ」という驚きがある。

 かつてのLPレコード時代には見る楽しみ、飾る楽しみがあったレコード・ジャケットが、CD時代になって楽しみが半減し、ネット配信時代になって楽しみ自体がほぼ消失した。
 同じことが本にも起こりつつあるわけだが、装丁という文化はなくなってほしくない。また、けっしてなくなりはしないだろう。本書を読んでそう思えた。

関連記事

トラックバック

コメント

コメントを残す

Secret


Guide 

   →全記事インデックス

Profile 

前原政之 
イラスト/ジョージマ・ヒトシ

前原政之(まえはら・まさゆき)
1964年3月16日、栃木県生まれ。54歳。
1年のみの編プロ勤務(ライターとして)を経て、87年、23歳でフリーに。フリーライター歴31年。
東京・立川市在住。妻、娘、息子の4人家族。

Counter 

メールフォーム

★私にご用の方はここからメールを下さい。

お名前
メールアドレス
件名
本文

最近の記事

マイ「神曲」ベスト100

カテゴリー

ブクログ・MY本棚

タイトルの由来

●「mm(ミリメートル)」は、私のイニシャル「MM」のもじりです。

●私の大好きなギタリスト・渡辺香津美氏は、ご自身のイニシャル「KW」をもじった「KW(キロワット)」を、公式サイトのタイトルにしておられます(同名のアルバムもあり)。それにあやかったというわけです。

●あと、「1日に1ミリメートルずつでもいいから、前進しよう」という思いもこめられています(こじつけっぽいなあ)。

Archives

アクセスランキング

[ジャンルランキング]
本・雑誌
29位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
和書
21位
アクセスランキングを見る>>