神田桂一・菊池良『もし文豪たちがカップ焼きそばの作り方を書いたら 青のりMAX』



 神田桂一・菊池良著『もし文豪たちがカップ焼きそばの作り方を書いたら 青のりMAX』(宝島社/1058円)読了。

 「カップ焼きそばの作り方」というお題で、古今東西の文豪から現代日本のお笑い芸人やブロガーまで、計120人分のパスティーシュ(文体模写)をやってみた本。
 昨年6月に刊行された第1弾が15万部突破のベストセラーになったのを受け、昨年末に刊行された第2弾である。


↑こちらが第1弾。

 いちおう全部読んだけど、さっぱり面白くなかった。
 パスティーシュは本来、高度な文章力・批評力・笑いのセンスを兼備していないと書けないものだ。表面的な言葉遣いだけ似せればよいというものではない。本書は、パスティーシュとしての完成度が総じて低い。
 
 本書の120人分のパスティーシュのうち、私が笑えたのはたった2つのみ。
 1つは宮崎駿へのインタビューのパスティーシュで、これはよくできていると思った。
 もう1つは辻仁成の項で、「(麺とソースをかき混ぜながら)やっと和えたね。」という一行だけのネタ。クダラナイけど笑ってしまった。

 それ以外の118人分は、1ミリも笑えなかった。
 とくに、私自身が強い思い入れを持っている竹中労と西村賢太のパスティーシュは、あまりの似ていなさに腹が立ってきたほど(※)。おそらく著者たちは、竹労にも賢太にも思い入れがないし、愛読者でもないのだろう。

※なにしろ、西村賢太のパスティーシュなのに「慊い」すら使われていないのである。

 逆に、吉行淳之介のパスティーシュはわりとよくできていて、著者のどちらかが愛読者なのだろうなと感じた。
 思い入れもリスペクトもない相手の文体を真似ても、表面しか似せられないのは当然だ。

 パスティーシュとしての質は、類書である星井七億の『もしも矢沢永吉が「桃太郎」を朗読したら』のほうが、はるかに上だと思う。

 ただ、私は第1弾を読んでいないので、もしかしたら、第2弾の本書は出がらしのようで質が低く、第1弾は質が高いのかもしれない。
 でも、あまりにつまらなかったので、いまから第1弾を読もうとは思えない。

 本書の著者たちは、和田誠の名著を復刊した『もう一度 倫敦巴里』の“『雪国』(川端康成)パスティーシュ”の妙技を熟読玩味し、もう少し腕を磨くべきだ。

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前原政之 
イラスト/ジョージマ・ヒトシ

前原政之(まえはら・まさゆき)
1964年3月16日、栃木県生まれ。54歳。
1年のみの編プロ勤務(ライターとして)を経て、87年、23歳でフリーに。フリーライター歴31年。
東京・立川市在住。妻、娘、息子の4人家族。

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