近藤ようこ・田中貢太郎『蟇の血』



 近藤ようこが田中貢太郎の短編怪奇小説をマンガ化した『蟇(がま)の血』(KADOKAWAビームコミックス/720円)を、電子書籍で購入。さっそく、2度くり返し読んだ。

 近藤が『コミックビーム』などで近年多数手がけてきた、近・現代日本文学コミカライズ・シリーズ(なのか?)の一作。
 私は一連のシリーズの中では、津原泰水の短編をマンガ化した『五色の舟』がいちばん好きだ。その評価は本作を読んでも変わらないが、これもなかなかの出来。

■関連エントリ→ 近藤ようこ・津原泰水『五色の舟』

 恥ずかしながら原作を読んだことがなかったので、本書を読んだあとに「青空文庫」で読んでみた。かなり原作に忠実なコミカライズである。

 私は近藤作品の中にときどき出てくる、怪異でエロティックな女性キャラが好きだ。本作にもそのようなキャラが出てくる。しかも、儚い系キャラと恐ろしいキャラの2タイプが揃って……。
 その魅力を堪能するだけでおなかいっぱいになる、上質な幻想怪奇譚である。

 恐ろしい場面でも飄々としたユーモアが隠し味になっていて(蟇の血を操るババアのキャラとか)、そのへんの複雑玄妙な味わいもなかなか。

 あと、本作は近藤作品の中でもひときわ、風景/背景描写に力が込められている気がした。
 暗い夜道に電灯の明かりでポッカリ浮かぶ家並みとか、月明かりに照らされた夜の海辺の松林とか、前半の何気ない風景が、強い印象を残す(後半は主人公がある屋敷に閉じ込められる展開なので、なおさら)。

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前原政之 
イラスト/ジョージマ・ヒトシ

前原政之(まえはら・まさゆき)
1964年3月16日、栃木県生まれ。54歳。
1年のみの編プロ勤務(ライターとして)を経て、87年、23歳でフリーに。フリーライター歴30年。
東京・立川市在住。妻、娘、息子の4人家族。

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