くりきあきこ『ブレッチェン ~相対的貧困の中で~』



 くりきあきこの『ブレッチェン ~相対的貧困の中で~』1巻(ぶんか社/648円)を、Kindleで購入(紙版は出ていないようだ。最近そういうケースも多い)。

 ぶんか社の、「本当にあった女の人生ドラマ」というレディースコミックの月刊誌がある。
 読者投稿のマンガ化など、ノンフィクション、もしくはノンフィクションに近い女性向けマンガを集めたもの。社会問題を扱った作品も多く、狙いはよいのだが、エグい話、ドギツイ話がけっこうあって、正直、あまり人前では読みたくないマンガ誌である。


↑こんな感じのマンガ誌。

 同誌に連載されているなかで、私が唯一続きを楽しみに読んでいるのが、この『ブレッチェン』である。
 これは、ベテラン・マンガ家くりきあきこが、日本の貧困問題――とくに、母子家庭の貧困や子どもの貧困――を真正面から描いた作品。

 主人公の18歳の少女・楓花は、生活保護を受けながら母親と2人暮らしをし、コンビニでバイトをしながら大学進学の学費を貯金していた。
 だが、高校卒業の直前に母親が他界したことで生活保護を打ち切られ、進学をあきらめる。そして、たった一人で働いて生きていこうとする……という物語。
 タイトルの「ブレッチェン」とは、楓花が働くことになる小さなベーカリーの店名だ。

 楓花が天涯孤独になったことで、急に冷たくなる知り合いもいれば、弱みにつけこもうとする「悪い大人たち」もいる。その一方で、力を貸してくれる「よい大人たち」もいる。
 そうした周囲の人々の姿と、自力で新しい人生を切り拓こうとする楓花の奮闘が、重いリアリティで描かれていく。

 パン作りの工程などもよく調べて描かれており、確かな生活感覚に満ちた、とてもよいマンガである。ドラマ化・映画化してもよいかもしれない。

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前原政之 
イラスト/ジョージマ・ヒトシ

前原政之(まえはら・まさゆき)
1964年3月16日、栃木県生まれ。54歳。
1年のみの編プロ勤務(ライターとして)を経て、87年、23歳でフリーに。フリーライター歴30年。
東京・立川市在住。妻、娘、息子の4人家族。

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●「mm(ミリメートル)」は、私のイニシャル「MM」のもじりです。

●私の大好きなギタリスト・渡辺香津美氏は、ご自身のイニシャル「KW」をもじった「KW(キロワット)」を、公式サイトのタイトルにしておられます(同名のアルバムもあり)。それにあやかったというわけです。

●あと、「1日に1ミリメートルずつでもいいから、前進しよう」という思いもこめられています(こじつけっぽいなあ)。

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