イギリスのジャズ・ロック・グループ「ダダ」が遺した唯一のアルバム『ダダ』(1972年)をゲットし、ヘビロ中。
「ヴィネガー・ジョー」で故ロバート・パーマーとツイン・ヴォーカルを張ったエルキー・ブルックスがいたバンドだと聞き、手を伸ばしてみた。
「エルキー・ブルックスが在籍した」というより、この「ダダ」というバンド自体がヴィネガー・ジョーの前身にあたるのだな。
ロバート・パーマーがスターダムにのし上がったころ、彼が以前在籍していたバンドとしてヴィネガー・ジョーの名を知った人が多いと思う。私もその1人で、後追いで聴いてみたらとてもよいバンドで、すっかり気に入ってしまった。
ヴィネガー・ジョーは、米国スワンプ・ロックの影響を受けた渋いR&Bバンドであった。
前身であるこの「ダダ」にもスワンプ色/R&B色は少しあるが、オルガンがかなりの比重を占めていたりして、ヴィネガー・ジョーよりもジャズ色が強い。さらに、プログレ色も随所にある。
野性的な泥臭さと知的な洗練味という、本来相容れないはずの2つの要素が混在している、なんとも不思議な音。
エルキー・ブルックスのヴォーカルは、このバンドのころからすでに絶品である。
ジャニス・ジョプリン的なハスキーボイスのド迫力と、アニー・ハズラム的な伸びやかな美声の魅力を併せ持っている。「その2つこそ相容れない要素ではないか」と思う向きもあろうが、このアルバムを聴いてみれば私の言っていることがわかると思う。
↑エルキーのヴォーカルが素晴らしい「シー・ウォークス・アウェイ」
もっとも、ダダの場合、もう1人ポール・コーダという男性シンガーがいて、2人が交互にヴォーカルを取るのだが(ポール・コーダのヴォーカルもなかなかよい)。
↑ストーンズの初期ナンバー「ラスト・タイム」の素晴らしいカヴァー
ところで、「ダダ」という名のバンドはほかにも複数ある。
そのうちの一つに80年代日本のプログレ・バンドがいて、私はこちらのダダも昔大好きだった。
Amazonのカスタマーレビューを見ると、日本のダダのファースト・アルバム(これまたタイトルも『ダダ』で、まぎらわしいったらない)のレビューと本作のレビューがごっちゃになっていて、とってもカオス。