佐藤優・北原みのり『性と国家』



 佐藤優・北原みのり著『性と国家』(河出書房新社/886円)読了。一昨年末に刊行された対談集で、仕事の資料として読んだ。

 北原みのりはフェミニストであると同時に、経営するアダルトグッズ・ショップをめぐる「わいせつ物陳列罪」で逮捕・勾留された経験を持つ。
 一方、佐藤さんは「鈴木宗男事件」に連座して逮捕・勾留された際、「国家というものが男権的で、とても暴力的なものであることを再認識し」、そこからフェミニズムの重要性に関心を持ち始めたという。

 獄中体験を通じて国家と対峙し、フェミニズムについて改めて思索したという共通項を持つ2人が、「性の視点で語る、新・国家論」(帯の惹句)である。
 この2人にそういう角度で対談させることを考えた編集者の、企画の勝利、キャスティングの勝利ともいうべき好著だ。

 とくに、従軍慰安婦問題を俎上に載せた第二章「戦争と性」は、従来の右派・左派による紋切り型の慰安婦論議に陥らない視点から語られており、目からウロコの卓見が多数ある。

 ただ、北原みのりは時々おかしなことを言っている。
 とくに、宗教改革の先駆者ヤン・フスが教会権力によって火刑に処されたことが話題にのぼったくだりで、「カトリック、かっこいい(笑)」「いいじゃないですか、カトリック!」と、フスを虐殺した側を賛美しているところは、目がテンになった。
 いったいどういう感覚をしているのか。冗談だとしてもまったく笑えないし、これはジョークにしてはいけないたぐいの話ではないか。

 あと、佐藤さんは性風俗やAVに対する見方が少し厳しすぎる印象を受けた。キリスト教を根幹に持つがゆえの厳しさなのだろうが。

 ……と、ケチをつけてしまったが、全体としては質の高い対談集だと思う。

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前原政之 
イラスト/ジョージマ・ヒトシ

前原政之(まえはら・まさゆき)
1964年3月16日、栃木県生まれ。54歳。
1年のみの編プロ勤務(ライターとして)を経て、87年、23歳でフリーに。フリーライター歴31年。
東京・立川市在住。妻、娘、息子の4人家族。

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