深町秋生『死は望むところ』



 深町秋生著『死は望むところ』(実業之日本社文庫/820円)読了。これで私が読んだ深町作品は12冊目。
 相変わらずサクサク読めるジェットコースター小説で、つかの間の娯楽としてハイクオリティ。

 解散に追い込まれた大暴力団の残党が地下に潜って先鋭化し、警察組織にすら牙をむく凶悪武装グループに変わる。
 そのグループと、警視庁組織犯罪対策課特捜隊の戦いを描く、血まみれのアクション小説である。

 グループに婚約者の女刑事を惨殺された凄腕の刑事が、私的な復讐をしていくプロセスが、ストーリーの大きな柱となる。
 深町秋生の代表作の一つ「組織犯罪対策課 八神瑛子シリーズ」は、凄腕の女刑事が殺された恋人の復讐に命を賭ける物語だった。本作には、それを男女反転させたという趣もある。

 これまでに私が読んだ深町作品のうち、本作がいちばんアクション度数が高い。全編、銃や刃物を駆使したド派手なアクションの連続。血しぶき舞い飛ぶバイオレンス・シーンも満載で、けっこうグロい。その手のシーンが苦手な人は受け付けないだろう。

 深町がこれまででいちばん、大藪春彦に近づいた作品だと感じた。大藪も、血みどろの復讐譚をくり返し描きつづけた作家であった。
 深町は過去2回、大藪賞の候補にのぼりながら受賞を逸しているが(つい先日も)、本作こそ大藪賞にノミネートされてしかるべきだろう。
 もっとも、過去の大藪賞受賞作のラインナップを見ると、必ずしも大藪作品に近いものが受賞するとは限らないようだが……。

 まあ、アクションがド派手な分、緻密な構成とか深みのある心理描写などはなく、わりと大味な作品ではある。
 主要キャラがバンバン死んでいくので、感情移入の暇すらないせわしなさだし。

 それでも、作品全体のスピード感、快調なテンポは小気味よく、値段分はキッチリ楽しめる。
 
関連記事

トラックバック

コメント

コメントを残す

Secret


Guide 

   →全記事インデックス

Profile 

前原政之 
イラスト/ジョージマ・ヒトシ

前原政之(まえはら・まさゆき)
1964年3月16日、栃木県生まれ。54歳。
1年のみの編プロ勤務(ライターとして)を経て、87年、23歳でフリーに。フリーライター歴31年。
東京・立川市在住。妻、娘、息子の4人家族。

Counter 

メールフォーム

★私にご用の方はここからメールを下さい。

お名前
メールアドレス
件名
本文

最近の記事

マイ「神曲」ベスト100

カテゴリー

ブクログ・MY本棚

タイトルの由来

●「mm(ミリメートル)」は、私のイニシャル「MM」のもじりです。

●私の大好きなギタリスト・渡辺香津美氏は、ご自身のイニシャル「KW」をもじった「KW(キロワット)」を、公式サイトのタイトルにしておられます(同名のアルバムもあり)。それにあやかったというわけです。

●あと、「1日に1ミリメートルずつでもいいから、前進しよう」という思いもこめられています(こじつけっぽいなあ)。

Archives

アクセスランキング

[ジャンルランキング]
本・雑誌
32位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
和書
22位
アクセスランキングを見る>>