ピーター・アースキン『セカンド・オピニオン』ほか



 ピーター・アースキンの『DR.UM(ドクター・アム)』と『セカンド・オピニオン』を聴いた。

 ピーター・アースキンといえば、後期ウェザー・リポートのリズムセクションを、ベースのジャコ・パストリアスとともに支えた名ドラマーだ。
 ジャコがウェザー・リポートを脱退して自己のバンドを結成すると、一緒に脱退してそのバンドに参加するなど、ジャコと深く結びついた盟友でもあった。

 そのピーター・アースキンがいまやっているバンドが、「DR.UM」。
 見てのとおり、「DRUM」の語をもじったバンド名であり、ピーター自身の二つ名のようなものでもあろう。
 彼らのファースト・アルバム『ドクター・アム』(2016年)の原題は、「PETER ERSKINE is DR.UM」。「私は映画だ」(フェリーニ)ならぬ「私はドラムだ」と、「生涯一ドラマー」の気概が込められた名なのである。



 昨年出たセカンド・アルバム『セカンド・オピニオン』は、「ピーター・アースキン&ザ・ドクター・アム・バンド」名義。日本盤はなぜかソロアルバム扱いになっているが、彼ら自身はバンドとしての側面を強く意識しているわけだ。

 この「ドクター・アム・バンド」のコンセプトは、ずばり「2010年代のウェザー・リポート」。2枚のアルバムとも、まさにウェザー・リポート直系の音。それも、ジャコ・パストリアス在籍時の黄金期の音――たとえば『ナイト・パッセージ』あたり――を踏襲している。

 バンドの成り立ちからして、ドラムスの音にかなりのウエートが置かれているが、ドラムスばかりが悪目立ちする印象はまったくない。いぶし銀の輝きを放つ、大人のジャズ/フュージョンだ。

 このバンド、あまり話題になっていない気がするが、ウェザー・リポートが好きな人なら聴いてガッカリはしないと思う。
 ウェザー・リポートの影響下にあるバンドは山ほどあれど、ドクター・アム・バンドこそ正統的フォロワーであり、大本命である。

 なお、『ドクター・アム』の日本盤にはボーナス・トラックとして、ピーターがジャコと「インヴィテイション」を演奏した未発表ライヴ・テイクが収められている。
 この曲のドラムスとベースが、嵐のような演奏で凄まじい。この一曲のためだけに日本盤を買う価値がある。

 
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前原政之 
イラスト/ジョージマ・ヒトシ

前原政之(まえはら・まさゆき)
1964年3月16日、栃木県生まれ。54歳。
1年のみの編プロ勤務(ライターとして)を経て、87年、23歳でフリーに。フリーライター歴31年。
東京・立川市在住。妻、娘、息子の4人家族。

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