小谷野敦『文豪の女遍歴』



 昨日は、都内某所で取材が一件。
 行き帰りの電車で、小谷野敦著『文豪の女遍歴』(幻冬舎新書/907円)を読了。

 女性遍歴ではなく「女遍歴」。身もフタもないタイトルですな。
 本書は、「近代日本の文学者たち六十人程度について、その異性関係(や同性関係)を記述する試み」である。もちろん、女流作家の男性関係も取り上げられている。

 「作家に限らず、伝記でいちばん面白いのは、異性関係である」、「私はもちろん、のぞき見趣味だ週刊誌だと言われたって、異性関係について読んだりするのが大好きである」と、著者は「まえがき」で言う。

 私も好きだ。いまはなき月刊誌『噂の眞相』を私は愛読していたが、その理由の一つは、あの雑誌がしばしば人気作家のゴシップ記事を載せていたからだ。作家のゴシップ記事だけをスクラップし、冊子状に綴じて保存したりしていた(笑)。
 講談社や新潮社など、小説も多数刊行している出版社の週刊誌は作家のスキャンダルを報じないから、作家のゴシップ記事は『噂の眞相』の独擅場だったのである。

 もっとも、本書の版元・幻冬舎も小説をたくさん出しているわけだが、取り上げている作家はとうの昔に物故した人ばかりだから無問題。

 「小説は作家の人間性とは切り離して、作品のみを虚心に味わうべきだ」と考える立場もあろうが、私はそう考えない。むしろ、書いた作家がどういう人間であるかをよく知ってこそ、作品も深く味わえるのだと思う。

 興味のない作家についての項目は飛ばして読もうと思ったのだが、面白くてけっきょく全部通読。
 著者の専門分野だけあって内容が濃く、目からウロコの記述が随所にある。

 美人・不美人、ハンサム・ぶ男などと、登場する作家や関係者の容姿を容赦なく批評する身もフタもなさも痛快だ。

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前原政之 
イラスト/ジョージマ・ヒトシ

前原政之(まえはら・まさゆき)
1964年3月16日、栃木県生まれ。54歳。
1年のみの編プロ勤務(ライターとして)を経て、87年、23歳でフリーに。フリーライター歴30年。
東京・立川市在住。妻、娘、息子の4人家族。

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