萩尾望都『ポーの一族 ~春の夢~』



 日野原重明さんの訃報に接する。105歳での大往生。

 10年前、95歳のころに、日野原さんを取材させていただいたことがある。

 耳がまったく遠くなくて、こちらがいつもの声量(私は声が小さい)で話しても普通に会話が成り立った。

 聖路加国際病院の敷地内にある「トイスラーハウス」(創立者ルドルフ・トイスラーが住んでいた家を移築したもの)で取材したのだが、取材後、ハウス前を流れる小川を日野原さんがピョンと飛び越えて渡ったので、びっくりした。

 何よりも驚かされたのは、取材の途中で日野原さんが一瞬眠ってしまったことだ。イスに座ったまま、静かな寝息を立てて。
 「あのぅ……、先生、先生!」と呼びかけたらすぐに目を覚まし、何事もなかったように話を続けられた。

 私はそのとき、「これこそが長寿の秘訣なのだな」と感じた。つまり、いつなんどき、どこででも自在に睡眠がとれることが、日野原さんの特殊能力であったのだと思う。

 ともあれ、ご冥福をお祈りいたします。


 萩尾望都の『ポーの一族 ~春の夢~』(フラワーコミックススペシャル/700円)を読んだ。
 昨年の『月刊フラワーズ』での連載開始から大反響を呼んだ、伝説的名作の40年ぶりの新作。

 私は近年の萩尾作品にはあまり馴染めないのだが、1980年代前半までの作品は夢中になって読んだ。もちろん『ポーの一族』も。
 
 絵柄が昔とは(微妙に)変わってしまったことは致し方ないが、ストーリーと雰囲気は昔のままである。かつての『ポーの一族』が好きだった人なら、間違いなく楽しめる作品に仕上がっている。

 難点は、今回の作品ではアランが“ただのお荷物”になってしまっていて、キャラとしての魅力がほとんど発揮されていないこと。
 次作では、ぜひもっとアランに光を当ててもらいたい。

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前原政之 
イラスト/ジョージマ・ヒトシ

前原政之(まえはら・まさゆき)
1964年3月16日、栃木県生まれ。53歳。
1年のみの編プロ勤務(ライターとして)を経て、87年、23歳でフリーに。ライター歴30年。
東京・立川市在住。妻、娘、息子の4人家族。

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