池上彰『世界を変えた10冊の本』



 昨日新幹線の中で読んだ2冊目の本が、池上彰著『世界を変えた10冊の本』(文藝春秋)。以前Kindle日替わりセールで安かったときに買っておいたものだ。

 日本には、難解なものをありがたがり、平明なものを小馬鹿にするという変な風潮がある。そのため、池上彰の著作は世のインテリ方からは軽んじられがちだ。
 だが、難解なことを平明に説明できる能力こそ真の知性だと私は思うし、池上彰の知的咀嚼力はやはり大変な才能だろう。

 膨大な数にのぼる彼の著書がすべてよいとは思わないが、本書などは優れた啓蒙書だと思う。

 書名のとおり、歴史を変えた10冊の本を選び、それぞれについて著者の生涯・おもな内容・社会に与えた影響が手際よく紹介されたものである。

 選ばれた10冊は、『アンネの日記』(アンネ・フランク)、『聖書』、『コーラン』、『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』(マックス・ウェーバー)、『資本論』(マルクス)、『イスラーム原理主義の「道しるべ」』(サイイド・クトゥブ)、『沈黙の春』(レイチェル・カーソン)、『種の起源』(ダーウィン)、『雇用、利子および貨幣の一般理論』(ケインズ)、『資本主義と自由』(フリードマン)――というラインナップ。

 10冊のうち、『イスラーム原理主義の「道しるべ」』と『資本主義と自由』は、一般にはあまりなじみがないかもしれない。
 前者は、ウサマ・ビンラディンらにも強い影響を与えたイスラム原理主義のバイブル的著作(原題は『道標』というシンプルなもの)。後者は、「新自由主義」のバイブル的著作である。
 
 各著作の本質部分をぐいっと抽出し、印象的なエピソードを積み重ねる形で、難解な書についても大枠は理解できるように作られている。「わかりやすく説明する達人」池上彰の真骨頂ともいうべき良書。

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前原政之 
イラスト/ジョージマ・ヒトシ

前原政之(まえはら・まさゆき)
1964年3月16日、栃木県生まれ。53歳。
1年のみの編プロ勤務(ライターとして)を経て、87年、23歳でフリーに。ライター歴30年。
東京・立川市在住。妻、娘、息子の4人家族。

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