的場昭弘『大学生に語る資本主義の200年』



 的場昭弘著『大学生に語る資本主義の200年』(祥伝社新書/886円)読了。仕事の資料として。

 マルクス経済学者で神奈川大学教授の著者が、自身のゼミで行った連続講義の書籍化。ゆえに語り口調の文章で書かれており、テーマがヘビーなわりには読みやすい。

 「資本主義とは何か? 社会主義・共産主義とは何か?」という、わかったようでじつはよくわかっていない(少なくとも私は)問いに、現代のアクチュアルな問題を随所で例に挙げながら、さまざまな角度から答えていく内容だ。つまり、編年的に資本主義の歴史を追っていく本ではない。

 この著者の本は、前に『一週間de資本論』というのを読んだことがある。
 同じ祥伝社新書で全3巻にわたる『超訳「資本論」』という著書も出しているし(10万部も売れたそうだ)、マルクス経済学を一般人に平明に伝える「インタープリター」として、大活躍である。

 目からウロコが落ちる記述が多数。そのうちの一つを引いてみよう。ロシアがクリミア半島を編入決定したウクライナ問題についてのくだりである。

 EUと非EUの境界線にある国――それが、「先進的資本主義国の傘下にあるか、そうでないか」の境目でもあるわけです。資本主義は、その搾取の対象となる土地と人民を拡大していくことによってのみ、生きながらえられます。対象となる場所がなくなったら、もう終わりです。
 プーチンが何に怒っているかというと、このような形でどんどん切り崩されていき、その影響がついに自分の国のすぐ隣にまでおよんだからです。かつて、アメリカのすぐ近くに社会主義国家ができたとき(1959年のキューバ革命)、アメリカは激しく不快感を示しましたが、これと同じことがロシアのすぐ近くで繰りひろげられているというわけです。つまりこれは、ロシアにとっての“キューバ問題”です。



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前原政之 
イラスト/ジョージマ・ヒトシ

前原政之(まえはら・まさゆき)
1964年3月16日、栃木県生まれ。53歳。
1年のみの編プロ勤務(ライターとして)を経て、87年、23歳でフリーに。フリーライター歴30年。
東京・立川市在住。妻、娘、息子の4人家族。

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