安宅和人『イシューからはじめよ』



 安宅和人著『イシューからはじめよ――知的生産の「シンプルな本質」』(英治出版)を、Kindle版で読了。
 7年前に刊行されたときから気になっていた本。先日「Kindle日替わりセール」で定価の3分の1という激安価格で売っていたので、買ってみた。

 ビジネス書ではあるが、副題のとおり「知的生産の技術」本として読むことができる。
 しかも、“知的生産の「生産性」を上げるために、本質的に大事なこととは何か?”が詳述された内容である。

 本書に書かれた、“イシューを見極め、仮説を立て、問題解決の方途を探る”ということを、ビジネスマンなら事業上の問題解決や新規ビジネス開発などに活かせるだろうし、研究者なら新しい研究テーマの決定などに活かせるだろう。

 そして、私のような物書きにとっても、新しい作品(ノンフィクションなど)に取り組むときのテーマ決定から執筆に至る工程に活かせるヒントが、ちりばめられている。

 もっとも、お手軽な「仕事に役立つライフハック集」ではないから、そういうものを期待して読むと「何を言っているかわからない」という肩透かし感を味わうかもしれない。
 かなりハイブローで根源的な内容だから、一つの分野である程度長いキャリアを積んだ人間でないと、著者の言っていることが理解しにくいのだ。

 著者は現在ヤフーの「チーフストラテジーオフィサー」だが、ビジネスの世界に進む前にはニューロサイエンス(脳神経科学)の研究者であったという。その知見が随所に活かされており、「脳科学的見地から書かれた知的生産本」として読むこともできる。

 何より、著者が随所で説く“プロフェッショナルとして仕事に臨む姿勢”に、感銘を受けた。
 たとえば――。

 労働時間なんてどうでもいい。価値のあるアウトプットが生まれればいいのだ。たとえ1日に5分しか働いていなくても、合意した以上のアウトプットをスケジュールどおりに、あるいはそれより前に生み出せていれば何の問題もない。「一所懸命にやっています」「昨日も徹夜でした」といった頑張り方は「バリューのある仕事」を求める世界では不要だ。



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前原政之 
イラスト/ジョージマ・ヒトシ

前原政之(まえはら・まさゆき)
1964年3月16日、栃木県生まれ。53歳。
1年のみの編プロ勤務(ライターとして)を経て、87年、23歳でフリーに。フリーライター歴30年。
東京・立川市在住。妻、娘、息子の4人家族。

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