柴那典『ヒットの崩壊』



 一昨日から昨日にかけて、取材で福島へ――。

 東日本大震災の関連取材。6年目の「3・11」を福島で過ごし、追悼式典にも参加して、深い感慨があった。

 また、一昨日は取材を終えてホテルに戻ると、「NHKスペシャル――15歳、故郷への旅 〜福島の子どもたちの一時帰宅〜」というのを放映しており、当の福島にいたものだからなおさら胸に迫り、じっと見入ってしまった。


 行き帰りの新幹線で、柴那典(とものり)著『ヒットの崩壊』(講談社現代新書/864円)を読了。

 過去10数年間に起きた音楽業界の構造転換を、音楽ジャーナリストの著者がさまざまな角度から浮き彫りにしていくルポルタージュ。
 
 「国民的ヒット曲」が生まれなくなり、CDが売れなくなった。そうした変化をふまえて『ヒットの崩壊』というタイトルになったのだろうが、タイトルから受ける印象よりもずっと明るい内容だ。
 CDが売れなくなったといっても、それは「音楽業界の崩壊」を意味せず、業界のありようが変わっただけであり、むしろ、いまの音楽業界は活気に満ちている――ということが書かれているからだ。

 なぜ「音楽は売れない」のに「バンドもアイドルも生き残る」時代になったのか?
 そこには、一つのシンプルな解答がある。
 音楽業界の構造が変わり、いまや音源よりも興行が重要な収益となっているから。つまり、CDよりもライブで稼ぐ時代になっているのだ。



 著者はそのような業界の大転換を、キーパーソンへのインタビューと、第一線の音楽ジャーナリストとしての経験・知識から、鮮やかに浮き彫りにしていく。文章は明晰で、論の進め方にもあいまいさがなく、大変わかりやすい本だ。
 私自身がヒット曲、ヒットチャートというものにほとんど興味がないせいもあって、目からウロコが落ちまくる内容であった。

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前原政之 
イラスト/ジョージマ・ヒトシ

前原政之(まえはら・まさゆき)
1964年3月16日、栃木県生まれ。53歳。
1年のみの編プロ勤務(ライターとして)を経て、87年、23歳でフリーに。ライター歴30年。
東京・立川市在住。妻、娘、息子の4人家族。

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