池澤夏樹『知の仕事術』



 昨日は都内某所で取材。
 久々にゴースト本の聞き書き仕事をしている。

 ゴーストだからお相手はナイショだが、今回で数回目の取材。
 本一冊をまとめるための取材というのは、回を重ねるごとに相手と気心が知れてくる感じが醍醐味である。一期一会の単発記事取材には、それがない。

 
 行き帰りの電車で、池澤夏樹著『知の仕事術』(集英社インターナショナル新書/799円)を読了。

 一流のプロの書き手が自らの「知的生産の技術」を開陳した本は、数多い。私も仕事柄、その手の本をわりとたくさん読んできた。
 その中からオススメを挙げるなら、立花隆の『「知」のソフトウェア』と、ノンフィクション作家・野村進の『調べる技術・書く技術』である。この2冊を超える本は、いまだにない。

■関連エントリ→ 野村進『調べる技術・書く技術』

 本書は、個人で文学全集を編むなど、碩学として知られる作家・池澤夏樹が、自らの「知のノウハウ」を開陳したもの。
 池澤は「芥川賞作品を初めてワープロで書いた作家」であり、元は理系の人だからITとかにもくわしそうだし、画期的な技術が披露されるのではないかと、大いに期待して読んだ。
 
 が、かなり期待はずれ。
 「仕事術」と銘打ちながら、内容は7割方「読書術・読書論」でしかない。しかも、読書論としても陳腐で、ほとんどあたりまえのことしか書かれていない。

 終盤(全12章中の第10章)の「アイディアの整理と書く技術」に至って、やっとタイトルに即した内容になる。
 ……のだが、そこから先も、参考になるノウハウ(=「私も取り入れたい」と思うようなこと)は一つもなかった。
 
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前原政之 
イラスト/ジョージマ・ヒトシ

前原政之(まえはら・まさゆき)
1964年3月16日、栃木県生まれ。53歳。
1年のみの編プロ勤務(ライターとして)を経て、87年、23歳でフリーに。フリーライター歴30年。
東京・立川市在住。妻、娘、息子の4人家族。

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