三田紀房『徹夜しないで人の2倍仕事をする技術』



 三田紀房著『徹夜しないで人の2倍仕事をする技術――三田紀房流マンガ論』 (コルク/378円)読了。
 電子書籍が安かったので買ってみたもの。通常の紙書籍の半分くらいのボリュームしかないので、サラッと読める。

 『ドラゴン桜』などのヒット作で知られるマンガ家・三田紀房が、自らのマンガ術・作劇術を語り下ろしたもの(構成者の名が記されていないが、ライターか編集者がまとめたものと思われる)。

 本書で明かされている著者の仕事ぶりは、まるで『ドラゴン桜』の主人公・桜木のように、業界の常識にとらわれない合理的なものだ。徹夜してヘロヘロの状態では生産性が上がるわけがないから、徹夜はしない。会社員のように自分もアシスタントも9時5時で働き、〆切は守る、などなど……。

 著者は、西武百貨店でサラリーマンとして働き、父のあとを継いで家業の衣料品店を経営したあと、30歳で生まれて初めて描いたマンガでデビューした――という経歴の持ち主。
 それだけに、子ども時代からマンガ家を目指していた人とは、発想そのものが違う。一つのビジネスとして、生産性をつねに考えながらマンガ作りに取り組んでいるのだ。

 あなたが個性を探しているプロセスには、誰も一円もお金を払わない。完成原稿にしか価値はないのだ。それなのに、マンガ家をはじめ多くの表現者が自分の個性を見つけることにばかり力を注ぎ、作品を作ることを忘れている気がしてならない。
 個性なんて気にするな! そんなものはなくていい。先人から大いに学び、多少表現をパクってもどんどん原稿を作っていこう。それが、マンガ家として生きていくということだ。



 ……などという割り切った考え方が披露される、異色のマンガ論である。
 『ドラゴン桜』や『インベスターZ』、『砂の栄冠』など、ヒット作の設定を決めるまでの舞台裏が語られる部分は、マンガ家志望者などにとって大いに参考になるだろう。

 ただ、初めて描いたマンガでいきなりデビューしたことからわかるとおり、この著者もある種の天才なのだと思う。
 ゆえに、本書で著者が「◯◯なんて簡単だ」と言っていることの多くは、凡人にとっては非常に難しいことであり、とても内容を鵜呑みにはできない。

関連記事

トラックバック

コメント

コメントを残す

Secret


Guide 

   →全記事インデックス

Profile 

前原政之 
イラスト/ジョージマ・ヒトシ

前原政之(まえはら・まさゆき)
1964年3月16日、栃木県生まれ。53歳。
1年のみの編プロ勤務(ライターとして)を経て、87年、23歳でフリーに。フリーライター歴30年。
東京・立川市在住。妻、娘、息子の4人家族。

Counter 

メールフォーム

★私にご用の方はここからメールを下さい。

お名前
メールアドレス
件名
本文

最近の記事

マイ「神曲」ベスト100

カテゴリー

里親募集中

タイトルの由来

●「mm(ミリメートル)」は、私のイニシャル「MM」のもじりです。

●私の大好きなギタリスト・渡辺香津美氏は、ご自身のイニシャル「KW」をもじった「KW(キロワット)」を、公式サイトのタイトルにしておられます(同名のアルバムもあり)。それにあやかったというわけです。

●あと、「1日に1ミリメートルずつでもいいから、前進しよう」という思いもこめられています(こじつけっぽいなあ)。

Archives

アクセスランキング

[ジャンルランキング]
本・雑誌
31位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
和書
22位
アクセスランキングを見る>>