菅原洋平『すぐやる!』



 ジョン・ウエットン逝去――。
 昨年来、キース・エマーソン、グレッグ・レイクと、プログレ・レジェンドの訃報がつづくなあ。

 ジョン・ウエットンといえば、ロックファン一般には「エイジアのフロントマン」というイメージだろうし、プログレファンという狭い領域でいうと「第二期キング・クリムゾンの顔」というイメージだろう。
 が、私にとっては何よりも、「UKの中心者」としてのイメージのほうが大きい。私自身がロックを聴き始めた時期が、ちょうどUKの活動期に重なるからだ。

 ジョン・ウエットンはもちろん名ベーシストだが、やはりヴォーカリストとしての印象のほうが強い。彼の声自体がすごく好きだった。
 「キミタチ、サイコダヨ!(君たち、最高だよ)」――UKの日本公演を収めたライヴ盤『ナイト・アフター・ナイト』での、ジョンのたどたどしい日本語のMCを思い出す。

 ジョンのヴォーカルが冴え渡る、私のお気に入り曲を貼っておく。R.I.P.









 昨日は取材で永田町の衆院第二議員会館へ。で、今日は参院議員会館へ。

 今週は、月曜から金曜までずっと取材がつづく。
 まあ、たまにはそういうこともある。我々フリーランサーにとって、「仕事がないつらさ」に比べれば、「忙しいつらさ」など、つらさの範疇にも入らない。

 行き帰りの電車で、菅原洋平著『すぐやる!――「行動力」を高める“科学的な"方法』(文響社/1490円)を読了。
 リハビリテーション専門の作業療法士である著者が、仕事上の経験をふまえ、「後回しにせずにすぐやる力」を高める方法を開陳した本。

 類書は心理学者や脳科学者によるものが多いなか、作業療法士の目線から見た「行動力を高める方法」が説かれている点がユニークだ。
 本の企画としてはよいと思うが、内容はどうということのないものだった。

 この手の本のマイベストワンは(何度も書いているが)、先延ばしの研究をライフワークとしてきたカナダの心理学者、ピアーズ・スティールが書いた『ヒトはなぜ先延ばしをしてしまうのか』である。同書を超える本はいまだにないし、本書など足元にも及ばない。

 本書は、脳科学の専門用語を随所にちりばめて信憑性を高めようとしているが、著者は脳科学の研究者でもないし、「どこまでホントなのかね?」と話半分で読んだ(偏見と言われれば偏見だが)。
 
 まあ、著者の書いている「コツ」の中に、納得のいくものもある。
 たとえば、「使ったものは元に戻す」とか、テレビなどのリモコンの定位置を決めておき、そこにいつも置いておくということが、「すぐやる力」を高めるために意外に重要だ、ということ。

 これは要するに、ルーティンでない行動は、ささいなこと(リモコンがどこに行ったか探すなど)でも脳に負担をかけるから、日常生活をできるだけルーティン化しておき、なすべき行動に振り向ける余力をキープしておけ、ということだろう。

 凡事徹底、ささいなことの積み重ねが大きなことを成し遂げるために大切だ、というのはそのとおりだ。
 でも、それは類書(たとえば、脳神経外科医・築山節氏の著書など)にもよく出てくる話で、著者の独創というわけではない。

 本書はよく売れているようだが(「8万部突破」という電車内広告を見た)、「後回しにせずにすぐやる力」を高める方法を知りたい向きには、『ヒトはなぜ先延ばしをしてしまうのか』のほうを断然オススメする。

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前原政之 
イラスト/ジョージマ・ヒトシ

前原政之(まえはら・まさゆき)
1964年3月16日、栃木県生まれ。53歳。
1年のみの編プロ勤務(ライターとして)を経て、87年、23歳でフリーに。ライター歴30年。
東京・立川市在住。妻、娘、息子の4人家族。

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