小谷野敦『本当に偉いのか』



 今日は、午前と午後で取材が一件ずつ。

 行き帰りの電車で、小谷野敦著『本当に偉いのか――あまのじゃく偉人伝』(新潮新書/799円)を読了。

 例によってAmazonのレビューには酷評が多いが、私はとても面白く読んだ。

 明治時代の「偉人」、世界史上・日本史上の「偉人」、現代の大物文化人など、「偉人」として扱われることの多い人々を一人ひとり俎上に載せ、“世間で言われるほど偉人ではないのでは?”と辛口批評していくコラム集。
 最後の第6章は「本当は偉いぞ偉人伝」と銘打たれ、“世間では過少評価されているが、じつは偉人だと思う”人を取り上げている。

 人物評コラムとしての出来不出来に、かなりバラつきがある。
 たとえば、ガンジー(本書の表記はガンディー)や坂本龍馬についての項は、大物偉人にもかかわらず扱いが雑で、「えっ、これだけ?」と拍子抜けする。とくに龍馬については、ほとんど“大河ドラマの中の龍馬像”に触れているだけで文章が終わっている。

 いっぽう、日本の文学者についての項目は、さすがに著者の専門分野だけあって、総じて読み応えがある。卓見が多いし、勉強にもなる。
 とくに、夏目漱石や中島敦に対する過大評価の要因を分析したくだりなど、なるほどと膝を打った。

 はじめは「明治の偉人」にするつもりだったが、範囲を広げて、だいたい物故者中心に、また明治以前、海外も含めて並べることにした。


 ――と「はじめに」にあるが、そうした経緯のせいか、第1章「上げ底された明治の偉人」が最も面白く、内容にも力が入っている気がする。
 最初の意図どおり、「明治の偉人」だけで一冊にすればよかったのに。

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前原政之 
イラスト/ジョージマ・ヒトシ

前原政之(まえはら・まさゆき)
1964年3月16日、栃木県生まれ。53歳。
1年のみの編プロ勤務(ライターとして)を経て、87年、23歳でフリーに。フリーライター歴30年。
東京・立川市在住。妻、娘、息子の4人家族。

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