廣末登『組長の娘』



 昨夜は、カメラマン・編集者との小規模な忘年会。
 で、今夜は地元の仲間たちと、我が家から徒歩3分の居酒屋で忘年会。
 今年の忘年会はこれで終わりだ。


 廣末登(ひろすえ・のぼる)著『組長の娘――ヤクザの家に生まれて』(新潮文庫/529円)を読了。

 犯罪社会学を専門とする研究者の著者が、「社会病理集団離脱実態の研究」のためのフィールドワークとして行った聞き取り調査を元に、「組長の娘」のライフヒストリーをまとめた本。

 ヒロイン・中川茂代の半生がじつにいきいきと綴られており、その語り口が非常に魅力的だ。学術研究の一環として作られた本ではあるが、単純に聞き書きノンフィクションとして楽しめる。

 聞き書きノンフィクションの傑作といえば、竹中労の『鞍馬天狗のおじさんは――聞書アラカン一代』がまず思い浮かぶ。これは、同書に匹敵する熱量を持った書である。
 ヒロインの語りが、河内弁の乾いたユーモアと小気味よいリズムの中に写し取られており、読み出したら止まらない面白さだ。

 例として、ケンカと薬物に明け暮れた少女時代の思い出を綴った章の一節を引こう。

 

 いきなし茶色の物体でガーンいうて顔殴られてんねん、歯折れたわ。よう見たらレンガやで、レンガ。無茶苦茶やわ。うち、顔面お岩さんで家帰るわな、前で水撒いとるお母ちゃんに当然発見されるねん。第一声、「茂代、あんた勝ったんか、負けたんか」言いよる。普通やったら「茂代ちゃん、あなたどうしたのその顔、お医者さんいきましょうねえ、まあ、可哀そうに」くらい言うのがお母様や。うちのお母ちゃんの場合は、「負けたわ」いうとな、「もう一遍行って来い! このヘタレが」言いよるねん。



 ……こんな感じで、刑務所生活などがいきいきと振り返られており、読み物として上出来。

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前原政之 
イラスト/ジョージマ・ヒトシ

前原政之(まえはら・まさゆき)
1964年3月16日、栃木県生まれ。53歳。
1年のみの編プロ勤務(ライターとして)を経て、87年、23歳でフリーに。フリーライター歴30年。
東京・立川市在住。妻、娘、息子の4人家族。

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