『エクス・マキナ』



 『エクス・マキナ』をDVDで観た。
 映画館で観たいと思っていたのだが、上映館数も少なく、公開もすぐに終わってしまって観損ねた作品。



 期待通りの面白さだった。

 マッド・サイエンティストがひそかに創り上げた人間そっくりのロボットが、やがて人間のコントロールを振り払って暴走し……という骨子は、それこそ『メトロポリス』(1927年)まで遡れるほど使い古されたものだ。

 しかし、その手垢にまみれたアイデアを、本作は2010年代後半ならではのリアリティで巧みにアップデートしている。古い革袋に入れた新鮮な葡萄酒のように。

 『エクス・マキナ』でマッド・サイエンティストの役割を果たすのは、世界的検索エンジン企業「ブルーブック」を一代で築き上げた、天才プログラマー兼CEO。

 「ブルーブック」がグーグルを意識させずにおかないため、アメリカ映画のような気がしてしまうが、イギリス映画だ。
 そして、観終わってみれば、「ああ、このヒネリ具合はやっぱりイギリス映画ならではだなァ」と思わせる。

 「チューリング・テスト」や「シンギュラリティ」といった、AIを語るには欠かせないネタを盛り込んだ、すこぶる知的な大人のエンタテインメント。かなりエロティックでもあるから、お子ちゃまには理解不能だろう。

 「AIが長足の進歩を遂げていった果てに、意識や感情はそこに生まれるのか?」という問いに、この映画は一つの答えを提示する。
 AIについて何冊か本を読むなど、ある程度の知識があってこそ楽しめる作品。SFサスペンスとしても上出来で、映像もスタイリッシュだ。

 美しき女性型ロボット「エヴァ」を演じるアリシア・ヴィキャンデルが、強烈な印象を残す。
 SF映画におけるロボットのイメージが、この映画によって革新された。比較的低予算でありながら、アカデミー賞視覚効果賞を得たのもうなずける。

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前原政之 
イラスト/ジョージマ・ヒトシ

前原政之(まえはら・まさゆき)
1964年3月16日、栃木県生まれ。53歳。
1年のみの編プロ勤務(ライターとして)を経て、87年、23歳でフリーに。ライター歴30年。
東京・立川市在住。妻、娘、息子の4人家族。

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