中村竜太郎『スクープ!』



 今日は、「駒場祭」で賑わう東大へ――。
 駒場祭の1プログラムとして行われた、小林雅之東大教授と佐々木さやか参議院議員(公明党)による講演/シンポジウム「大学教育の未来を考える」の取材だ。

 演題は漠然としているが、実際には「大学教育における奨学金のあり方を考える」という感じの内容。「給付型奨学金」の導入が実現するか否かの瀬戸際にあるいま、時宜にかなった講演であった。

 佐々木さやかさんは、議員になる前に何度か取材させていただいたことがある。相変わらず美人ですなァ。


 行き帰りの電車で、中村竜太郎著『スクープ!――週刊文春エース記者の取材メモ』(文藝春秋/1296円)を読了。
 30歳から50歳までの20年間、『週刊文春』編集部に在籍し、数々のスクープを飛ばしてきた元エース記者(現在はフリー)が、20年間で印象に残った仕事を振り返った本。

 『週刊文春』の現役記者には、仕事の性質上、マスコミでの顔出し厳禁という基本原則があるそうだ。
 しかし、最近のスクープ連発で、「『週刊文春』の取材現場を知りたい」という世のニーズが高まっているため、すでに現役をしりぞいた著者が引っ張り出された……というのが本書の成立事情らしい。

 私は、『週刊文春』『週刊新潮』などの出版社系週刊誌のあり方には批判的で、一つ残らず消えてなくなったほうが世のためだと考えている。
 ま、それはそれとして(笑)、本書に明かされたスクープの舞台裏秘話は、わりと面白く読めた。

 全11章。各章はわりと玉石混交だが、第1章「『シャブ&飛鳥』スクープの舞台裏」は本書の白眉だし、第8章「歌姫・宇多田ヒカルの素顔」も、宇多田家の複雑な家庭事情に迫って読み応えがあった。

 ただ、著者が一貫して“自分は社会正義を背負って週刊誌記者をやっていたのだ”みたいな物言いをしている点に、強い違和感を覚えた。
 たとえば、こんな一節がある。

 週刊誌記者はスクープを追う犬だ。権力者の不正をかぎ分け、スキャンダルを暴く。ときには牙をむいて吠え、ときには石もて追われ悲鳴をあげる。闇夜を走り、駆け抜けて、また走る。疲れても、傷を負っても、力尽きるまで走り続けるのだ。けれど、こんなに面白い仕事は、ない。



 この文章に満ち満ちた、「風に吹かれてトップ屋(死語)が一人」みたいな自己陶酔感に、読んでいて鼻白む思いがした。週刊誌記者というのは、そんなにご立派でカッコいい仕事なのかね?
 私にはむしろ、「あとがき」に記された著者のお父さんの次の言葉(がんと闘う病床で息子に言った言葉だという)のほうが、よほどまっとうな感覚に思える。

「お前は、ヤクザな仕事をしているな。いくらペンの力といっても、人様に迷惑をかけていることは忘れるな。畳の上では死ねないと思いなさい。因果とは、そういうもんだ」



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前原政之 
イラスト/ジョージマ・ヒトシ

前原政之(まえはら・まさゆき)
1964年3月16日、栃木県生まれ。53歳。
1年のみの編プロ勤務(ライターとして)を経て、87年、23歳でフリーに。フリーライター歴30年。
東京・立川市在住。妻、娘、息子の4人家族。

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