『JIMI:栄光への軌跡』



 『JIMI:栄光への軌跡』をDVDで観た。
 史上最高のロック・ギタリスト、ジミ・ヘンドリックスの伝記映画である。

 ただし、描かれるのは伝説の「モンタレー・ポップ・フェスティバル」出演の手前まで。
 つまり、ジミヘンが本格的にブレイクする前夜までの物語なので、イマイチ盛り上がりに欠ける。

 中心となるのは、ジミがチャス・チャンドラーに見出されて渡英し、2年間にわたってイギリスで活動した時代。
 イギリス映画だからイギリス時代を描いたということなのかもしれないが、この2年間だけではジミの全体像が見えにくい。彼のことをあまり知らない人が観たら、どういう人物だったのか、よくわからないままだろう。

 楽曲使用許可がおりなかったとのことで、肝心のジミ本人の演奏は一つも使われておらず、その点でも画竜点睛を欠く。
 コピーによる演奏場面も、カバー曲オンリー。ジミの自作曲は皆無で、「パープル・ヘイズ」すら登場しないのだ。

 ただし、ジミを演じたアンドレ・ベンジャミン(=アウトキャストのアンドレ・3000)は素晴らしい。ルックスがそっくりな上に声やしゃべり方まで完コピで、ジミが乗り移ったかのような迫真の演技を見せる。
 エリック・クラプトンやポール・マッカートニー、ジョージ・ハリスン、キース・リチャーズなども登場し、60年代後半のロンドンのロックシーンを描いた映画としても楽しめる。

 しかし、脚本がよくない。雑然としていて的が絞られておらず、何が描きたかったのか、よくわからない。
 とくに、尻切れトンボで“決着感ゼロ”の終わり方がひどい。

 わずか27年の劇的な生涯を駆け抜けたジミを主人公にしながら、よくまあここまで盛り上がらない映画にできたものだ。
 細部の作り込みはけっこうていねいなので、ジミヘン好きなら細部は楽しめる映画なのだが……。

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前原政之 
イラスト/ジョージマ・ヒトシ

前原政之(まえはら・まさゆき)
1964年3月16日、栃木県生まれ。53歳。
1年のみの編プロ勤務(ライターとして)を経て、87年、23歳でフリーに。ライター歴30年。
東京・立川市在住。妻、娘、息子の4人家族。

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