『マネー・ショート 華麗なる大逆転』



 『マネー・ショート 華麗なる大逆転』を、映像配信で観た。



 アメリカのサブプライムローン問題からリーマンショックに至るまでの流れを、エンタメ仕立てで描いた映画。
 実話に基づき、リーマンショックを予見して巨万の富を築いた4人(とその周辺)の金融業界人の、“世界経済の破綻に賭けたギャンブル”を描いている。

 MBS(Mortgage Backed Securities=不動産担保証券)とかCDS(Credit Default Swap)とか、金融用語がガンガン飛びかうので、私のような金融音痴にはよくわからない部分がある。
 それでも、わからないままに観ていれば大枠は理解できるので、金融知識がなくても十分楽しめる。

■参考ページ→ 映画『マネー・ショート』の感想と作中に出てくる金融用語の解説/リーマンショックの基礎知識

 「華麗なる大逆転」という邦題の印象から、往年の名作『スティング』のような、悪党を出し抜く痛快な逆転劇を思い浮かべる人が多いだろう。
 が、実際には、大儲けした側もうしろめたさを抱え込む苦いラストを迎える。

 それもそのはず、リーマンショックによって米国には大量の失業者とホームレスがあふれ、影響は世界中に及んだのだから、儲かったからといってはしゃぐわけにはいくまい。

 ただ、そうした現実は脇に置き、映画だけを虚心に観てみれば、ウェルメイドで痛快な作品である。
 目まぐるしく場面が転換するスピーディーな展開で、テンポが心地よい。アイロニカルな笑いを基調にしたストーリーと映像は、すこぶるスタイリッシュ。社会性と娯楽性がハイレベルでせめぎ合う。

 日本のバブル崩壊に際しても、本作の主人公たちのようにいち早く破綻の危機を察知し、売り抜けて巨万の富を築いた人は、少なからずいたはずだ。
 が、そうした人たちを主人公にして本作のような娯楽作が生まれたかといえば、一つも生まれなかった。
 かりに、バブル崩壊をテーマにした経済エンタメ映画が日本で作られたとしても、本作よりずっとシリアスな作品になったことだろう。

 いかなるテーマもエンタメに消化してしまうハリウッドの強靭な胃袋は、驚嘆に値する。

 
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前原政之 
イラスト/ジョージマ・ヒトシ

前原政之(まえはら・まさゆき)
1964年3月16日、栃木県生まれ。53歳。
1年のみの編プロ勤務(ライターとして)を経て、87年、23歳でフリーに。フリーライター歴30年。
東京・立川市在住。妻、娘、息子の4人家族。

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