斎藤友佳理『ユカリューシャ』



 昨日は、午前中に国立の一橋大学で守島基博教授を取材。

 で、隣町なので一度家に帰り、夕方に目黒の「東京バレエ団」本部にて、バレリーナの斎藤友佳理さんを取材。
 まったく分野の異なる取材のダブルヘッダーなので、頭を切り替えなければならず、一度帰れたのはちょうどよかった。

 斎藤さんの自伝『ユカリューシャ――不屈の魂で夢をかなえたバレリーナ』(文春文庫)を読んで臨む。
 これはとてもよい本。とくに、左ひざ靭帯断裂の大ケガを負って再起不能と言われながら、そこから奇跡的な復活を遂げるプロセスが感動的だ。

 印象に残った一節を引く。
 

 バレエダンサーにとっての身体は、音楽家にとっての楽器のようなものである。楽器の調子が悪かったからいい演奏ができなかった、という言い訳は通用しない。体型、体力、体調を常に良い状態にキープしておくのは、ダンサーの務めだ。



「踊れなくなって初めて、バレエが自分にとってどれほど大切なものだったかがわかる」
 と、コーリャが言ったのは、現役を引退した後だった。本当の大切さがわかったときには、もう踊れないという残酷。
 まだ踊れる可能性を残しているあいだにそれに気づくことができた私は、幸運だったとしか言いようがない。



 バレエという芸術が、観る人を一瞬にして夢の世界に引きずり込む力を持っているとしたら、それは、ダンサーが最高に輝ける時期があまりに短いからこそではないだろうか。



 斎藤さんは、鈴を鳴らすような声でソフトに話される方だった。しかし、そのやわらかい外面の奥に、運命に屈しない強靭さが秘められているのだ。
 
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前原政之 
イラスト/ジョージマ・ヒトシ

前原政之(まえはら・まさゆき)
1964年3月16日、栃木県生まれ。53歳。
1年のみの編プロ勤務(ライターとして)を経て、87年、23歳でフリーに。ライター歴30年。
東京・立川市在住。妻、娘、息子の4人家族。

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