『シン・ゴジラ』



 仕事がやっと一区切りついたので、立川シネマシティの「極上爆音上映」にて『シン・ゴジラ』を観た。

 おもに聴覚障害者を想定した「日本語字幕付き上映」の回を、あえてチョイス。「早口のセリフが多くて、聞き取りにくい」と聞いていたので。
 たしかに全体に早口、しかも自衛隊用語などのジャーゴンがバンバン出てきて、セリフの中の情報量がすごいので、字幕付きでなければ意味のわからない言葉がたくさんあっただろう。



 微塵も子供向けではない、骨太な政治/軍事ドラマであった。ゴジラという存在だけがアンリアルで、それ以外は徹頭徹尾リアルな、「2010年代日本」の物語だ。

 『シン・ゴジラ』を初代『ゴジラ』(1954年)と比較して論じていた人が多かったので、これまで観たことがなかった初代『ゴジラ』も、前準備として映像配信で観ておいた。
 なるほど、初代『ゴジラ』もまったく子供向けではなく、1950年代半ばの日本の現実を忠実に反映した映画であり、その点で『シン・ゴジラ』と比較されてしかるべきなのだな。

 凡庸な監督が作っていたら、この『シン・ゴジラ』に主要キャラの恋愛要素とか、湿っぽい親子の情愛描写とかをからめていただろう。また、ゴジラに都民が殺される描写(たくさんある)の中に、母親を殺された子供が「おかあさ~ん!」と泣き叫ぶカットとかを入れてきたと思う。
 だが、本作にそういうベタな描写は一切なし。官僚・政治家・自衛隊員・学者etc.の生々しいやりとりで物語が駆動されていく、ドライでハードな映画なのだ。

 それでいて、怪獣映画としての迫力も申し分ない。自衛隊の総力を尽くしたゴジラ攻撃シーンの、圧倒的重量感! 東京が焼け野原と化す終盤の、すさまじい破壊描写!
 また、前半にはニヤリとさせる大人のユーモアがちりばめられており、けっこう笑える。
 
 評判どおりの傑作だった。欠点が見当たらない。
 映画館で観ることをオススメする。できれば、ぜひ立川シネマシティの「極爆」で……。立川は物語後半の重要な舞台となるから、一種特別な感慨が味わえると思う。

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前原政之 
イラスト/ジョージマ・ヒトシ

前原政之(まえはら・まさゆき)
1964年3月16日、栃木県生まれ。53歳。
1年のみの編プロ勤務(ライターとして)を経て、87年、23歳でフリーに。ライター歴30年。
東京・立川市在住。妻、娘、息子の4人家族。

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