カレー沢薫『もっと負ける技術』



 カレー沢薫著『もっと負ける技術――カレー沢薫の日常と退廃』(講談社文庫/702円)読了。

 当ブログで前に取り上げた『負ける技術』の続編という体裁だが、実際は「マイナビニュース」連載中のコラム「兼業まんがクリエイター・カレー沢薫の日常と退廃」の文庫化で、「負ける技術」という元の連載とは別物である。
 とはいえ、どちらも著者の私生活・自分史を主な題材にした自虐的お笑いコラムだから、内容にさしたる違いはない。

 本書の帯によれば、『負ける技術』は「6刷突破」だそうだ。いまどき6刷とは大したもの。カレー沢薫のコラムのファンはけっこう多いのだな。

 カレー沢作品でいまのところ唯一のエッセイ・マンガ(=私生活をネタにした作品)『ブスだけどマカロン作るよ』も先日読んでみたが、題材は『負ける技術』とかなり重なっているにもかかわらず、『負ける技術』のほうがずっと面白かった。
 つまり、「カレー沢薫は、じつはマンガ家としてよりもコラムニストとしての才能のほうがある」ということになる。そんなことを言ったらご本人は気を悪くするだろうが、私はそう思う。

 この『もっと負ける技術』に収められたコラムを、私はすべて「マイナビニュース」ですでに読んでいる。つまり再読なわけだが、それでも十分楽しめた。

 この人のコラムは、誰も思いつかないような独創的表現に満ちている。たとえば(以下、太字強調は引用者)――。

 好きな芸能人の結婚や熱愛に嘆き苦しんでいると、必ず「福山雅治が結婚していようとしまいと、お前のモノになる可能性は限りなくゼロに近いんだから大差ないだろう」などと冷や水をぶっかけたがる奴が出てくる。そういう問題ではないのだ。こういうことを言ってくる奴の前世はカナブンだし、来世はバッタである。



 できればムカつかずに生きたい。そう願ってやまないが、心は年々狭くなる一方である。よく「年をとって丸くなった」と言うが、あれは怒る体力がなくなってきているだけじゃないかと思う。ただの元気がないおっさんを、「落ち着いていて素敵」と錯覚するのと同じだ。
 生まれた時から心の広さは四畳半くらいしかなかったが、現在ではマイクロビキニくらいの面積になっている。しかし、心のままに周囲に怒りをぶつければ周囲が対処してくれるのは、乳児か2兆円持っている人ぐらいのものであろう。



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前原政之 
イラスト/ジョージマ・ヒトシ

前原政之(まえはら・まさゆき)
1964年3月16日、栃木県生まれ。53歳。
1年のみの編プロ勤務(ライターとして)を経て、87年、23歳でフリーに。ライター歴30年。
東京・立川市在住。妻、娘、息子の4人家族。

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