佐藤優・竹内久美子『佐藤優さん、神は本当に存在するのですか? 』



 このところ、「リオ五輪を支える日本の中小企業」という企画で、五輪公式サプライヤーとなった企業の取材をしている。
 どの企業にもドラマがあるし、日本のものづくりの底力を垣間見るようで楽しい。“リアル『下町ロケット』”という趣なのだ。

 昨日は、千葉県流山市の卓球台メーカーを取材。
 行き帰りの電車で、佐藤優・竹内久美子著『佐藤優さん、神は本当に存在するのですか? ――宗教と科学のガチンコ対談』(文藝春秋/1620円)を読了。

 リチャード・ドーキンスの『神は妄想である』を話の入り口に、神学と科学の接点(というか衝突点)を軸に話が展開する対談集である。
 タイトルが示すとおり、竹内久美子はどちらかといえば聞き役に回っており、「近代プロテスタンティズムにおける神概念」について佐藤さんがさまざまな角度から説明するくだりが多い。
 
 「ガチンコ対談」という副題どおり、議論の火花が散る箇所も一部にあるが、全体としてはなごやかな雰囲気の対談だ。

 私のような門外漢から見ると、キリスト教と神のイメージがかなり変わる内容である。たとえば、佐藤さんの次のような発言に驚いた。

 われら神学をやってきた人間からすると、ドーキンスの議論というのは、二十世紀の神学者カール・バルト以前の議論であって、すでに僕らから見ると解決済みとしか思えない。(中略)人間が自分の願望とか願い事でつくり上げてきた神様は、キリスト教が禁止しているところの偶像だということになった。プロテスタント神学のほうではね。



 対談の最後にも、ダメ押しのように次のような発言がある。

 フォイエルバッハが言うように、神学の秘密は人間学なんです。神が人間をつくったんじゃなくて、人間が神をつくった。だから人間の側からしか神について語れない以上、裏返して、人間学を高めて神学にしていくしかない。



 竹内の話の進め方もうまく、読む前に予想したよりもずっと質の高い対談集だった。

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前原政之 
イラスト/ジョージマ・ヒトシ

前原政之(まえはら・まさゆき)
1964年3月16日、栃木県生まれ。53歳。
1年のみの編プロ勤務(ライターとして)を経て、87年、23歳でフリーに。ライター歴30年。
東京・立川市在住。妻、娘、息子の4人家族。

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